削除の仮処分とは|インターネット上の名誉毀損記事を削除する
ネット上で名誉毀損、誹謗中傷の書き込みをされたら「仮処分」によって削除させることができます。裁判所を使った手続きで難…[続きを読む]
「マンションノート」という口コミサイトをご存知ですか?
マンションノートはなど住まい探しをしている方達にとって、生の声を聞くことができる非常な便利なウェブサイトである一方、「勝手に投稿された悪口」や「悪質な口コミ」によって被害を受けている方がいらっしゃるのも事実です。
今回は、特にマンション経営者やオーナーの方に向けて、マンションノートにて悪質な口コミが投稿されてしまった場合には、どのような対処法を取れば良いのか詳しく解説していきます。
目次
「マンションノート」とは、2013年3月に公開された、日本全国のマンションに関する口コミを検索することができる日本最大級のマンション口コミサイトのことです。
賃貸マンションの情報や新築・中古マンションの購入を考えてる方などをターゲットとしています。2013年12月には口コミが100万件を突破しました。
マンションノートでは、実際にマンションに住んでいる住人や元住人の方、周辺住人の意見・口コミに加え、不動産業者などの専門家や物件オーナーなど様々な立場の人たちが投稿者となることができます。
しかし、このように誰でも書き込むことができるサイトだからこそ、悪い口コミが投稿されてしまって現状被害を受けているマンション経営者の方も少なくありません。
一般に、マンションノートの口コミは削除することが難しいと言われています。
ネガティブな口コミや悪口などで実害を受けているにも関わらず、削除が難しいとされている理由は以下の通りです。
以下、この3つの理由を詳しく見ていきましょう。
マンションノートでは、口コミが掲載される前に運営による審査が行われています。
つまり、運営側がマンションノートの口コミガイドラインに基づいて、掲載OKという判断をした口コミのみが掲載されているのです。
そのため、マンションノートに掲載されている口コミは、もうすでに運営により口コミの基準を満たしていると判断されたものであるという理由から、なかなか口コミを削除してもらうのは難しいというわけです。
以下簡単に、マンションノート口コミ投稿ガイドライン(https://www.mansion-note.com/i/guideline)を確認してみましょう。
マンションノートは住まい探しをしている人のための情報サイトです。
そのため、住まいを探している人のためになるような口コミである必要があり、一般論や質問のみで住まい探しをしている者にとって有益な情報が含まれていない口コミは、この基準を満たしていないこととなります。
この基準を満たしていないため、削除対象となり得る口コミ例は以下の通りです。
マンションノートは、不特定多数の多くのユーザーがアクセスするウェブサイトです。
そのため、「他人が不快と感じる可能性のある口コミ」は審査が通りません。
この基準を満たしていないため、削除対象となり得る口コミ例は以下の通りです。
マンションノートに投稿される口コミは、良い点と悪い点の両方が含まれていなくてはなりません。
そのため、
などといった良い点のみ、もしくは悪い点のみの口コミは審査基準を満たしません。
嘘や誹謗中傷などによって他人を傷つけるような悪質や口コミや、プライバシー権・名誉を傷つけるような権利侵害を行っている恐れのある口コミは審査基準を満たしません。
この基準を満たしていないため、削除対象となり得る口コミ例は以下の通りです。
口コミに下記のような個人情報が含まれている場合、マンションノートの規約違反となります。
個人情報はもちろんの他、記号やマークなどを用いて工夫しながら個人を特定できる情報を、意図的に含んでいるような口コミも審査基準を満たしません。
売春斡旋・麻薬取引など、犯罪を招きかねない口コミはマンションノートの審査を通ることはありません。
このような犯罪に関わる口コミが審査漏れになるケースは非常に少ないですが、念のためもう一度確認するようにしましょう。
ユーザー以外とは例えば、次のような投稿者を指します。
このような「ユーザー以外」に分類されるような方の口コミは、自分の立場を明記したものでなかった場合、審査を通ることはありません。
口コミを投稿した者に直接削除を依頼し、口コミを取り消してもらうことはできないのでしょうか?
残念ながら、マンションノートでは口コミの投稿者本人であっても、口コミを削除することはできません。
マンションノートのヘルプ「口コミについて」(https://www.mansion-note.com/i/help/review#003)を参照すると、以下のように書かれています。
このように、マンションノートでは投稿者による削除もできないことから、口コミを削除してもらうことは困難だと言われています。
ネガティブな口コミを削除したくても削除できないのであれば、物件情報ごと削除して新しいページを作ってしまえばいいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、マンションノートでは物件情報を削除することはできません。
ヘルプの「不動産会社・その他法人の方」を参照すると下記のように記載されてます。
「マンションノートに掲載されているマンション情報は、削除のご依頼があったとしても、原則として削除は行っておりませんので、あらかじめご了承ください。」
このこともマンションノートで口コミの削除がしにくい原因の1つとなっています。
マンションノートに勝手に投稿されるネガティブな口コミや悪口にはどのようなものがあるのでしょうか?
マンションノートには非常に多くの物件が掲載されているため、日々数え切れないほどの口コミが投稿されています。
そのため、全ての口コミに対して目視で確実なチェックを行うことは難しく、審査漏れをしている口コミも少なからずあります。
以下、投稿済みであっても削除してもらえる可能性の高いネガティブな口コミや悪口の例をご確認ください。
このように審査基準に当てはまらない悪口が投稿されている場合には削除してもらえる可能性が高いです。
では実際に経営されているマンションについて勝手に悪口が書かれてしまった場合には、どのような対処をすれば良いのか確認していきましょう。
口コミガイドラインに記載されている審査基準を満たしていない口コミや、禁止行為として挙げられている行為に該当する口コミが見つかった場合には、まずはマンションノートに削除要請をしてみましょう。
マンションノートは、電話での削除依頼には対応していません。
そのため、お問い合わせフォーム(https://www.mansion-note.com/inquiry/input)から削除要請をすることとなります。
お問い合わせフォームでは、下記を記入する必要があります。
また、お問い合わせ種別では、「問題のある口コミの報告」を選び、最後に「お問い合わせ内容を記入する欄」がありますので、そこに削除を申請したいという旨を記入します。
具体的には以下の内容を正確に記入する必要があります。
具体的なお問い合わせ内容の記入例を以下に示しておきますので、これからお問い合わせフォームより削除要請を行う予定のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
お問い合わせ内容の記入例
◯◯マンションに関する「〜〜」という口コミの削除を依頼いたします。
「〜〜」という口コミにおける、「〜〜」という部分は、マンションノート口コミガイドラインの〜に該当しないと考えられます。
速やかに削除していただけるよう、お願い申し上げます。
このように、該当の口コミのどこの部分がガイドラインの審査基準を満たしていないと考えるのか、もしくは禁止事項に触れているのかという点を、しっかりと明記するように心がけましょう。
お問い合わせフォームからマンションノートに対して口コミ削除の申請を行なってにも関わらず、該当の口コミが削除されない場合、「裁判所を通じて口コミの削除」を請求することとなります。
口コミの削除は通常訴訟手続き後に行われますが、「仮処分」という手続きを取ることによって判決前に削除してもらうことも可能です。
「仮処分」という手続きは、まだ裁判の判決が出る前の段階において
など、本来被害を受けたものが当然受けるべき権利・避けるべき不利益を保護するために、裁判所が暫定的に取り計らう手続きのことです。
通常、悪質な口コミ削除に関する「訴訟」を起こした場合、裁判が終わるまでに3ヶ月から1年程度の期間がかかってしまいます。
その間ずっとマンションに関する悪質な口コミが公開され続けてしまっては、そのマンションの居住者が減ってしまい、家賃を下げざるを得なくなってしまったり、マンション経営者としては取り返しのつかない事態となってしまうことがあります。
こうした手遅れの状態となってしまうのを防いでくれるのが、「仮処分」の手続きとなります。
「仮処分」は、マンションノートに投稿される口コミからマンション経営者を守るための有効な手段です。
しかし、申立さえ行ってしまえば、どんな口コミであっても仮処分が認められるというわけではありません。
裁判所に仮処分を認めてもらうためには、下記2点の要件を満たすことが必要です。
被保全権利とは、「本当に保全されるべき権利か」ということです。
具体的には、プライバシー権・名誉権・著作権などが「保全されるべき権利」として認められます。
削除してほしい口コミが、このような「保全されるべき権利」を侵害しているような場合には、「仮処分」が認められるための要件を満たしていることとなります。
「保全の必要性」が認められるためには、もしも仮処分を実行せずに保全しなかった場合、「債権者に著しい損害・危険が生じる」ということを明確に裏付けるための、客観的で具体的な事実が必要不可欠となります。
マンションノートに投稿された口コミに仮処分が認められた場合には、裁判所への申立て後から口コミが削除されるまでの期間はおよそ1〜2ヶ月前後です。
これは、通常の裁判の手続きを踏んで、判決が出るまでの3ヶ月〜1年という期間と比べると、大幅に短縮されることがわかります。
実際に仮処分の申立てを行なった後、無事に該当する口コミが削除されるまでを簡単にまとめると、以下のような流れとなります。
ここで注意しなくてはならない点は、そもそも仮処分の申立てを行うには、法律上の要件を満たしているかどうかという主張と、その主張を立証するための確固たる証拠が必要であるということです。
しかし、仮処分が認められるために必要なものとなる証拠集めは簡単なものではなく、なかなか個人で行うのは難しいものです。
そのため、もしもマンションノートのお問い合わせフォームから削除要請をしても口コミが削除されない場合には、弁護士に相談することをおすすめいたします。
裁判所を通じて無事に悪質な口コミが削除された場合であっても、被害が収まらないというケースも多々あります。
というのも、マンションノートの違反行為に該当するような口コミを書き込んだり、法律上問題があると判断されるような口コミを投稿する人は、自分の投稿した口コミが削除されたことによって逆上してしまう可能性があるのです。
そのような場合、せっかく削除してもらった口コミよりももっと悪質な口コミを繰り返し書き込むことがあります。
もちろんマンションノートでは口コミが公開される前に審査が行われますが、あくまでも目視の審査ですので、審査漏れで悪質な口コミが公開されてしまう…という危険性もあります。
このような場合には、悪質な口コミを投稿した投稿者を特定し、損害賠償を請求することも可能です。
口コミの投稿者を特定をしたい場合には、弁護士へ依頼し「発信者情報開示請求」を行ってください。
発信者情報開示請求を行うことで、誹謗中傷や悪質な口コミを投稿している投稿者の下記情報の開示を請求できます。
投稿者のIPアドレスがわかれば、投稿者を特定することができます。投稿者特定のための手続きの具体的な流れをチェックしてみましょう。
このような一連の流れを経て、マンションに関する根も葉もない噂や悪質な口コミを投稿した投稿者を特定することができます。
そして投稿者が特定された場合には、投稿者本人を特定するために必要となった弁護士費用のほか、該当口コミによって受けた被害に対する慰謝料などの損害賠償金を請求することができます。
マンションノートに投稿された悪質な口コミの削除依頼や投稿者特定を弁護士に相談する場合、ネット問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
ネットに強い弁護士は、誹謗中傷・権利侵害などのインターネットにまつわる問題解決の経験が豊富なだけではなく、豊富なITスキルを持っている人も多く存在します。
こうしたネットに強い弁護士に依頼することで、口コミの削除はもちろんのこと、投稿者の特定もスムーズに進めることが可能となります。
では悪質な口コミ投稿者に関して、情報開示請求を弁護士に依頼する場合の費用の相場はどのくらいなのでしょうか?
一般的には下記のように言われています。
ただし、弁護士費用は各々の弁護士事務所や個々の弁護士によって大きく異なります。
マンションノートに投稿された口コミの削除要請や発信者の特定に関して、弁護士に相談することを検討されている方は、正式に依頼する前に費用の見積もりを行うようにしましょう。
今回は、マンションノートに悪質な口コミや悪口が投稿されてしまった場合の対処法についてご紹介してきました。
マンションノートにおいて口コミが削除されにくいのには理由がありました。
しかし口コミガイドラインの審査基準を満たしていない場合には、削除してもらうことができる可能性は高いです。
まずはマンションノートのウェブサイト内にあるお問い合わせフォームより口コミの削除申請を行い、それでもなかなか削除されない場合には、できるだけ早くネットに強い弁護士に相談することをおすすめいたします。