削除の仮処分とは|インターネット上の名誉毀損記事を削除する
ネット上で名誉毀損、誹謗中傷の書き込みをされたら「仮処分」によって削除させることができます。裁判所を使った手続きで難…[続きを読む]
病院や飲食店などの経営者の方にとって、Googleマップにおける誹謗中傷は死活問題とさえ言えるでしょう。
特に飲食店の場合、最近は「食べログ」よりもGoogleマップのレビューの方が大きな影響力を持ち始めており、気にしないわけにはいかないですし、そのまま放置するとイメージが悪くなります。
そこで今回は、Googleマップで第三者からネガティブな口コミや嫌がらせの書き込みで営業妨害されたときに、レビューを消す方法・犯人特定方法や注意点等を解説致します。
目次
Googleマップのアプリには、病院やお店、各種施設の「口コミ」を簡単に無料で投稿する機能があります。「Google ローカルガイド」とも言い、ポイント、レベル、バッジ、通知機能等がありゲーム感覚で気軽に登録する人も多いです。
具体的には、その場所や商品を利用した人が星による5段階の評価をし、具体的な感想も投稿できる機能で、他の人にもその評価や具体的な口コミ内容をシェアすることが可能です。
たとえばネット上のGoogle検索で「東京都庁舎」など場所の名前と検索すると、住所や電話番号等とともに「口コミ数」「レビュー内容」等が検索結果の右側にナレッジパネルの項目として掲載されます。
上記の画像の赤線で囲んだ場所に、ユーザー全体の口コミ数と評価が表示されていることが分かります。
また、その箇所をクリックすると、具体的な文章によるクチコミ内容と星による評価、コメントへのいいねの数を確認することができます。なお1つの場所には2つ・3つコメントは書けず1つしか書けません。
Googleマップに書き込まれるクレーム口コミは業種・企業によって内容が異なります。
そのため、店側にどのようなネガティブなコメントが記載される可能性があるか下記の3つの例を確認をしましょう。店舗を名指しし、スタッフの個人名をそのまま記載する例もあります。
たとえば病院をGoogleマップで探す場合、「どのような対応をしてもらえるのか」「医師が期待できそうかどうか」「丁寧に話を聞いてくれたか」「受付や待合室の雰囲気」等のレビューを見て、実際に行くどうか決める場合が多いです。
ただ病院側が普段から患者に対して誠心誠意丁重に対応していても、そのときの病院の混雑状況によっては、細かい部分まで手が回らず、顧客から「不親切で、対応のよくない場所」とレッテルを貼られ、結果的に低評価の口コミを投稿されてしまいます。
Googleマップの悪質な口コミの削除方法は、主に以下の2つの方法があります。
Googleが口コミを「ポリシー違反」や「利用規約違反」と認めた場合、口コミを報告すれば削除対象となる場合があります。
ポリシー違反・利用規約違反に該当するのは、以下のようなケースです。
「スパム・虚偽のコンテンツ」「関連性のないコンテンツ」とは、例えば以下のような書き込みが考えられます。
実体験にもとづいてる口コミは削除することが可能です。
Googleマップ上における「悪意のある表現」「違法コンテンツ」とは、具体的には下記のとおりです。
その他にも下記のようなクチコミが禁止されています。
参考ページ:Googleマップサポートサイト「禁止および制限されているコンテンツ」
ポリシー違反や禁止・制限されるコンテンツに該当する口コミがあれば、次の手順でGoogleに削除依頼をしましょう。
Google マップにアクセスして、自社の店舗の名前・病院の名前等などで検索します。
サイドパネルに下記のような[(クチコミの数)件のクチコミ] が表示されます。
[クチコミ]の箇所までスクロールし、報告するクチコミを見つけて「メニュー」をクリックします。「違反コンテンツを報告」という文言がポップアップされるのでさらにクリックします。
「このクチコミの問題点」というフォームが開き、違反理由を選択して送信し削除申請が完了します(その後、メールで削除依頼の進捗状況について連絡が来る場合もあります)
以上の流れでGoogleマップのポリシー違反に該当する不適切な悪口口コミは削除が可能となります。
上記の方法でGoogleマップの口コミ削除依頼をしても、Googleが書き込み削除の対応をしてくれないケースがあります。
その場合、「仮処分」という手続きを裁判所に申し立てることにより、Google社に対して「口コミの削除命令」を出してもらえる可能性があります。
仮処分は、裁判所の決定なので、Googleは必ず従わねばなりません。「禁止されたコンテンツなどではない」と判断してGoogle社が対応しなかったケースでも、仮処分さえ認められれば該当するGoogleマップの口コミを消すことが可能です。
ただ、仮処分命令を認めてもらうには「守るべき権利」と「権利を守る必要性」の2点を立証しなければなりません。
一般の人にとっては対応が困難なため、削除請求に強い弁護士に依頼するのが無難でしょう。
実際に、過去にGoogleマップの誹謗中傷口コミの削除が認められた事例をご紹介します。
2015年4月7日 千葉地裁松戸支部
この事件では、Googleマップの「口コミ」によって名誉棄損の被害を受けた医療機関が該当の口コミを削除するよう求め、仮処分を申し立てました。
Google側は、該当する口コミにポリシー違反などはなく、削除の必要性がないと主張していましたが、裁判所は権利侵害を認めて削除命令を下しました。
なおこの件では、裁判所は日本だけでなく世界中においてこのコンテンツを削除するよう命じています。
上記のように、Googleに自主的に削除してもらえなかったケースでも、仮処分を申し立てれば削除してもらえる可能性があります。
弁護士法人YMPでは「発信者(犯人)の特定」を得意としております! 爆サイ、ホスラブ、5ch、2ch、たぬき、各種ブログ、口コミサイト、SNS等の誹謗中傷にお困りでしたら、お気軽ににご相談下さい!
弁護士法人YMPでは「発信者(犯人)の特定」を得意としております! 爆サイ、ホスラブ、5ch、2ch、たぬき、各種ブログ、口コミサイト、SNS等の誹謗中傷にお困りでしたら、お気軽ににご相談下さい!
Googleマップでは、店舗に対して名指しで、高評価ではなく悪評や厳しいコメント、低評価が付きやすいですが、事業者側から丁寧な返信をすることで、情報としてバランスをとることが可能です。
事業者側は感情的に回答するのではなく、簡潔にわかりやすく、丁寧に誠実にお願いして回答することが重要です。
クチコミに返信すると、Google 検索やマップでの顧客のクチコミの下([オーナーからの返信] ラベルの下)に表示されます。
望んだ治療をしてくれなかった印象が原因で、患者が「医師の態度が悪い。患者の意見を聞かない!」とクチコミを書かれたとします。そのような投稿コンテンツの場合は、下記のような返信例が考えられます。
クチコミを読む側は、双方の意見を聞くことができ、冷静な判断ができるようになります。
参考引用サイト:Googleサポートサイト「クチコミを読み、返信する」
以上の流れで、口コミに返信することが可能です。
Google口コミの返信方法に関しては、下記の記事で詳しく解説しております。
Googleマップの口コミ削除の仮処分が認められるためには「権利侵害」が行われていることが重要です。
具体的にどのようなコメントに「権利侵害」があると認められるのか、代表的なケースを紹介しておきます。
公然と事実を示すことによって他人の社会的評価を貶める行為です。
口コミ内容が真実であってもそれが社会的評価を落とすものであれば、名誉毀損となる可能性があります。
事実ではなく罵倒などによって、おおやけの場で他人を侮辱する行為です。
他人が通常知られたくないと考える私生活上の事実や情報などを勝手に投稿した場合などです。
なお、名誉毀損と侮辱罪とプライバシーの侵害の違いは、下記記事が詳しいので併せてご参照ください。
虚偽の噂を流したり他人に不当な勧誘をしたり、あるいは乱暴な言動をすることによって他人の業務を妨害する行為が営業妨害です。
虚偽を告げて他人の経済的な信用を毀損する行為です。
他人の著作物や他人が商標権を持っている商標を勝手に使った場合です。
Googleマップの口コミ・レビューにより権利が侵害・営業妨害されているかもしれないと考えるなら、まずは法律のプロである弁護士を活用・相談すべきです。
また、投稿を消すことだけではなく口コミの投稿者を特定し、損害賠償請求をすることも場合によっては可能です。
悪質で嘘で事実無根の口コミ投稿を繰り返させないためにも、犯人を特定し損害賠償請求をすべきです。
Googleマップによる不当な口コミによる権利侵害を受け入れる必要はありません。不利益が大きく広まらないうちに、積極的に弁護士に相談して、削除請求、非表示対策を行いましょう。