Googleサジェスト汚染!裁判所は何故名誉毀損を認めないのか?

Googleサジェストとは何?

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Googleサジェストとは、キーワードを検索した際に、それと関連するワードを抽出し、それを示す機能です。例えば、「蟹」と検索すると、”英語”や”食べ放題”、”通販”、”味噌汁”などの関連する言葉が浮上し、検索のサポートをしてくれるというものです。

本来、検索は「AAA+BBB」という複合語で検索するのが8割と言われる中、新たな関連ワードをサポートしてくれるため、検索を効率的にすすめられる便利な機能となります。

サジェスト汚染とは?

しかし、検索行為には便利な「Googleサジェスト」ですが、色々調べていくと、「サジェスト汚染」という言葉に行き当たります。

サジェスト汚染とは、「サジェスト機能を悪意をもって意図的に操作し、企業や個人名に表示サジェストキーワードをネガティブなもので埋め尽くして対象者の評判を落とす」、行為を指します。2ちゃんねるや各種wikiに、こういう順番でスレッドをたてて、こういう割合で書き込んでいくとサジェスト表示されやすいという操作方法が開示されています。

実は、一旦やり方を覚えてしまうと、様々な形でこのサジェスト機能を利用する人が現れます。やられる側はたまったものではありません。

Google側もアルゴリズムの変更等により対策していても、また操作方法を攻略する人が書き込みを行い、いたちごっこの関係になっています。

最近では、人名などを入力した際、本人にとって身に覚えのない犯罪の名称(詐欺、逮捕、大麻 等)が出てきて、それによって職場にいられなくなり、退職に追い込まれたとしてサジェストの表示の差し止めを求め、Googleを訴えるというケースが出てくるなど、サジェストをめぐる訴えが起きています。

ネガティブなサジェストワードの本当の恐ろしさ

また、このネガティブなサジェストは、いったんGoogleの検索エンジンに登録されてしまうと、なかなか消えないのが特徴です。

Googleサジェスト自体のサービス開始が2008年だとして、2017年から10年近くでているサジェストも多数あります。

根拠がないサジェストが一旦でてしまえば、興味本位でそのサジェストを一般検索者はヒットします。そうすると、その根拠ないサジェストが、いつの間にか定着し、上位表示され、その検索語と非常に強い関連をもった言葉としてサジェストされつづけます。

そのサジェストとの関連性の真実性を議論する場も、削除申請も通ることはいままでは少なかったと言えるでしょう。

Googleに事実無根であると、サジェスト削除依頼しても

「プルダウン メニューに表示される予測検索キーワードは、Google ユーザーの間で、またインターネット全般においてよく使用されている検索キーワードをアルゴリズムによって反映させたものです。Google では、これらの用語を個々に選択したり、検索キーワード同士の関連性について個々に検討し決定したりすることはありません。その代わりに、アルゴリズムを使用して、ユーザーの検索キーワードなどのデータソースを基にパターンを検出しています。ユーザーに不快感を与える特定のコンテンツについてはある程度のフィルタを適用していますが、自動生成されたその他の予測キーワードを個々に削除または変更するよう求める個人の方からのリクエストにはお応えしない方針です。」

と回答されることもあります。アルゴリズム上、表示しているにすぎないというスタンスです。

東京地裁:ネガティブなサジェストは社会的評価を下げた

日本では2013年の4月、就職活動中に採用が決まったのに突然採用がなしになったり、内定の取り消し、職を失ったとして訴えが起こされ、東京地裁では表示の差し止めと賠償を命じる判決が下されました。

つまり、検索サイト「グーグル(Google)」利用者の男性が、自分の名前をGoogleに入力すると、身に覚えのない犯罪行為が表示されるとして、米Googleに表示をやめるように求めて提起していた訴訟で、2013年4月15日、東京地方裁判所において判決が言い渡されました。

東京地裁は「無関係の単語を閲覧しやすい状況を放置し、男性の社会的評価を低下させた」として名誉毀損やプライバシー侵害に当たると認定。

Googleに対して表示の停止と慰謝料30万円の支払いを命じました。

東京高裁:単なる関連ワード単語の表示は人格権侵害に当たらない

その後の2014年1月の控訴審判決で一転、原告側が敗訴という展開となり、東京高裁は、単語だけでは名誉を傷つけたとは言えないという見解が出されました。

こうした裁判において最大の焦点となるのは、それによって人格権が著しく傷つけられたかどうかというものです。

人格権とは、法的に保護されている利益のうち、人格と切り離すことができないものすべてを指します。例えば、個人のプライバシーに関する権利、名誉権などがそれに該当します。

サジェスト機能により、自分には全く身に覚えのない犯罪、その犯罪行為を連想させる言葉が出てきたことで人格を著しく傷つけられたというのが原告側の主張となります。

一方で、その「個人名+単語」を並べて表示するだけでは人格権を傷つけるには至らないのではないかというのがGoogle側の主張です。

たしかに、単語を並べただけ、(例:「個人名+詐欺」)だけでは、この人が「詐欺をした」、「詐欺事件に遭った」、「詐欺に詳しい専門家」いずれかなのか分かりません。

そのため、サジェスト機能で人格権を侵害されたとして、削除の仮処分が認められるのはかなり限られることになります。

Googleが、オートコンプリートポリシーを持っており、ポリシー違反の場合、削除に応じています。

参考外部サイト:Google検索ヘルプ「オートコンプリートポリシー

日本の最高裁判所「忘れられる権利」を認めず

インターネット検索サイト「グーグル」で名前などを入力すると、逮捕歴に関する報道内容が表示されるのはプライバシーの侵害だとして、男性が検索サービス大手の米グーグルに検索結果の削除を求めた仮処分申し立ての抗告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日までに、「男性の逮捕歴は公共の利害に関する」として削除を認めない決定をした。決定は2017年1月31日付で、裁判官5人全員一致の意見。(2017/1/31 最高裁の判断)
この判例を受けて、「サジェスト(英語名はオートコンプリート)機能」問題も同時に、上告を退けGoogleの勝訴が確定しました。※
最高裁は、「情報流通の基盤として検索サイトは大きな役割を果たしている」としており、公共性を重視し、表現の自由を認めていると言えます。
サジェスト削除を裁判で求めるのは難しくなって来ていると言えるでしょう。
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※参考サイト:日本経済新聞「最高裁グーグル判決が残した4つの課題

サジェストに悩む方は弁護士へ相談を

ネット上での中傷、検索結果、その表示に伴う不利益など様々なことがここ数年で言われていますが、まだこうした実情を知らない人たちが司法には多く、なかなか画期的な判決が出ておりません。

サジェストには悪意による何らかの“情報操作”が入る可能性もあることを頭の片隅に置いておく必要があります。だから、そういった者に対しては、法的にも、技術的にも適切な対応をとることが望まれています。

個人の方からの弁護士へのサジェスト被害の相談・依頼は急増しており、こういった名誉毀損の事項は書面申請で削除されるべきだと考える人も少なくなく、今後の裁判所の見解が注目されます。

サジェスト汚染に悩まれている場合、ネットに強い弁護士に相談することをお勧めいたします。サジェスト問題は、あらゆる解決パターンがあり、ケースによっては、申請に応じてGoogleが削除しているのも事実なので、あきらめないことが重要でしょう。

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