誹謗中傷してしまった!訴えられる前に示談で前科を付けない方法
ネットで書き込みをした相手から訴えられそうになることがあります。この記事では、ネット誹謗中傷をして、警察に通報、ある…[続きを読む]
ツイッター(Twitter)などSNSやネットの匿名掲示板を利用している場合、いろいろな場所でさまざまな「投稿」をします。
そんな中で、その投稿内容を「名誉毀損」や「著作権侵害」と受け止められた場合、相手方から「発信者情報開示請求」が行われ、自分宛に「発信者情報開示に係る意見照会書」という書類が届きます。
その場合、下記のような悩み・疑問が湧いてくる人もいるでしょう。
これに対してどのような対処をとるのが良いのかについて知っておく必要があります。
そこで今回はツイッターなどのSNSでの書き込みにより届く「発信者情報開示に係る意見照会書」とは何か、また発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合、拒否したり逃れることができるか?その対処方法について解説します。
なお、相手との示談については下記記事も詳しいので併せてご参照ください。
目次
日常的にツイッターなどのSNSを利用している場合、いきなり自宅に「発信者情報開示に係る意見照会書」(通称:発信者情報開示請求照会書)という書類が届くことがあります。
インターネットプロバイダなどが、第三者から情報開示請求を受けた場合に、書き込んだ人の情報を自動的に開示するわけではなく、まず、情報開示に応じて良いかどうかを確認するためにその情報の当事者に対して書類を送ります。
これが「発信者情報開示に係る意見照会書」です。
インターネット上では、たくさんの書き込みがなされています。自分が何の気なしに書き込んだ投稿内容を見て、第三者が「誹謗中傷された」「名誉を毀損された」などととらえることもあります。
このような場合、プロバイダ責任制限法に基づき、その第三者は、インターネットのサイト管理者やプロバイダに対して「発信者情報開示請求」をすることができます。
発信者情報開示に係る意見照会書が送られてきたということは、第三者が自分に何か訴えや請求を起こすために、自分の情報を調べようとしているということになります。
主に下記の情報が相手に開示されることになります。
発信者情報開示に係る意見照会書が送られてくる場合、通常は「インターネットプロバイダ」から送られてくることになります。
ただ、プロバイダの中でも「コンテンツプロバイダ(いわゆるサイト管理者)」から送られてくる場合と「経由プロバイダ」から送られてくる場合があります。
被害を受けたと感じた人が発信者情報開示請求をする場合には、まずはコンテンツプロバイダに情報開示請求をして、その後経由プロバイダに情報開示請求をして発信者を特定するので、経由プロバイダから「発信者情報開示に係る意見照会書」が送られてきている場合の方が、開示請求の手続きが進行していることになります。
発信者情報開示に係る意見照会書では、下記内容が発信者に通知されます。
プロバイダからは、「発信者情報開示に係る意見照会書」の受領日から二週間以内に、添付回答書にて回答されることが求められます。
情報発信者は、下記の回答書をインターネットプロバイダへ返答する必要があります。
書式③ 発信者からの回答書
年 月 日 至 [特定電気通信役務提供者の名称]御中 [発信者] 回 答 書 〔貴社・貴方〕より照会のあった私の発信者情報の取扱いについては、下記のとおり回答します。 記 [回答内容](いずれかに○) ( )発信者情報開示に同意しません。
( )発信者情報開示に同意します。
以上 (注)理由の内容が相手方に対して開示を拒否する理由となりますので、詳細に書いてください。証拠がある場合は、本回答書に添付してください。 |
つまり簡単に言うと「発信者情報開示に同意するか同意しないか」に回答することになります。
当然、開示されては困る場合は、「発信者情報開示に同意しません。」にチェックして拒否をし、同意しない理由と証拠をそえて回答する必要があります。
発信者情報開示に係る意見照会書に「同意しなかったこと自体によって不利益を受けること」は特にありません。
第三者が「誹謗中傷された」と感じて損害賠償をしようと考えているケースでも、必ずしも本当に名誉毀損やプライバシー侵害などが成立するとは限りません。
その第三者が過剰反応しているケースもよくありますし、身に覚えがない場合も良くあります。
このように、発言内容に特に問題がない場合には、プロバイダの判断で、情報開示されないこともあります。
ただ、自分の書き込み内容が妥当なものだったのかどうかという判断は、自分では難しいことが多いです。
基本的には、発信者情報開示に係る意見照会書の回答や判断に迷った場合、開示請求された場合には、弁護士に相談に行った方が良いでしょう。
なお、発信者情報開示に係る意見照会書が来た場合、相手に謝れば逃れる事が可能ということではありませんし、記事を削除してもそれだけでは解決しないケースもあります。
損害賠償請求(名誉毀損の慰謝料)や、謝罪や訂正文を公開するように求められることがあるからです。
よって、このようなことからも、発信者情報開示に係る意見照会書の対応に迷った場合には弁護士にきちんと相談することをおすすめします。
弁護士法人みなと法律事務所は、東京都にあるネット上の誹謗中傷・風評被害の対策実績がある法律事務所です。
弁護士法人みなと法律事務所は、東京都にあるネット上の誹謗中傷・風評被害の対策実績がある法律事務所です。
発信者情報開示請求照会が行われる場合には、14日以内の回答期限を定められることが多いです。
この場合、その後期限が過ぎても発信者情報開示に係る意見照会書に回答をせず無視していると、どうなってしまうのかという問題があります。
プロバイダ責任制限法では、14日間の期限を定めて照会した場合、回答がなければプロバイダは情報開示をしても責任を負わないとされています。
そこで、発信者情報開示に係る意見照会書を無視していると、逃れることはできず、その後自分の情報開示が行われてしまうおそれが高いです。
もし情報開示に応じたくないのであれば、発信者情報開示に係る意見照会書を無視するのではなくきちんと反論・拒否をして対応する必要があります。
発信者情報開示請求が行われた場合、最終的に情報開示をするかしないかは誰が判断するのかという問題があります。
これについては、請求を受けたプロバイダが判断することになります。
これに対してプロバイダが情報開示を拒絶した場合や応じない場合には、被害を受けたと主張する第三者がプロバイダに対して「情報開示の仮処分や裁判」を起こします。
この場合には、裁判所が情報開示をさせるべきかどうかの判断をします。
第三者が充分な主張と立証をして裁判所が情報開示を相当と判断すれば情報開示がなされますし、第三者の言い分が言いがかりてきなものである場合には、仮処分や訴訟が却下、棄却されて情報は開示されないことになります。
第三者が発信者情報開示請求をする場合には、名誉毀損などにもとづく損害賠償請求などの手続きをしようとしているケースが多いです。
実際に名誉毀損が成立すると、その後どうなってしまうのでしょうか?
この場合には、刑事上の「名誉毀損罪」(刑法230条)が成立する可能性があります。
すると、警察に逮捕されたり刑事裁判にかけられて、3年以下の懲役刑や50万円以下の罰金刑に科される可能性があります。
また、相手から民事裁判を起こされる可能性があります。
この場合には、裁判で慰謝料請求をされたり、名誉回復のために必要な措置をとらされるおそれがあります(民法709条、723条)。
裁判に負けると、相手方に対して慰謝料の支払いをしなければなりません。
発信者情報開示請求が行われる場合、相手が弁護士をつけているケースも多いです。
開示請求されたら、自分も弁護士をつけた方が良いのでしょうか?
インターネット上の書き込み内容が問題になる場合、その内容によって法的責任が発生するかどうかという問題は非常に微妙で難しいものです。
弁護士や裁判官でも一義的に明らかにできないことが普通です。
このような難しい判断を、素人が自分で行うのは困難ですし、ましてプロの法律家である弁護士を相手にして、自分一人で対処すると、極めて不利になってしまいます。
そこで、相手が弁護士をつけて発信者情報開示請求をしていたり、弁護士を使って名誉毀損にもとづく損害賠償請求などをしてきたケースでは、自分も弁護士をつけた方が安心ですし有利になります。
弁護士であれば、事案に応じて法的に有効な反論を考えてくれますし、なるべく責任が発生しないように、もし発生したとしても最小限度にとどまるように、効果的に対応してくれます。
特に、裁判を起こされた場合などには、自分一人で対処するのは非常に困難です。
このようなことから、相手方が弁護士をつけている場合はもちろんのこと、発信者情報開示に係る意見照会書が届いて対応に困った場合には、すぐに弁護士に相談に行って必要な手続きを依頼することをおすすめします。
今回は、発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合の考え方や拒否したり逃れたりすることができるのか、また簡単に対応方法をご説明しました。
ネット空間で行われる名誉毀損と表現の自由の戦いは、IT知識が求められます。掲示板の特性、仕組み、IDやアカウントなどに通じていないと、一般の弁護士に理解してもらうまでに時間がかかります。
そこで、発信者情報開示に係る意見照会書の対応にも精通しており、ネットサービスの詳細まで理解している「ネットに強い弁護士」に相談することをお勧めまします。
本サイトには、ネットに強い弁護士を厳選して掲載しておりますので、まずは電話で相談してみるのがよいでしょう。