名誉毀損とは~構成要件、刑罰、時効、事例をわかりやすく解説
ネットで他人を誹謗中傷すると「名誉毀損」となって相手から刑事告訴や損害賠償請求をされる可能性があります。一方誹謗中傷…[続きを読む]
インターネットやSNSを利用していると、誹謗中傷を受けて被害者になることもありますが、自分が加害者になってしまうケースもあります。
ほんの出来心で、悪口を書き込んでしまったことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
日々、解決の糸口を見つけるために、SNSやヤフー知恵袋上でも上記のような多くの悩みや反省の弁が投稿されています。
そこで、今回はSNS等での名誉毀損や誹謗中傷で訴えられたらどうなるのか、謝罪や反省をすれば訴えられないのか、また誹謗中傷をしてしまったときに前科がつかないようにする対策についてご紹介していきます。
目次
冒頭でも述べたように、軽い気持ちで誹謗中傷をして後悔している…という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、誹謗中傷と一概にいっても、様々な種類のものがあります。
では、どんな書き込みが相手から訴えられる可能性のある誹謗中傷にあたるのでしょうか。
ネットの誹謗中傷で一番多いのは「名誉毀損」です。
基本的に、以下の3つの要件を満たしていると、名誉毀損が認められます。
なお、誹謗中傷してしまった場合、誰に対して言っているのか特定ができない場合は、名誉毀損にはなりません。
次に、侮辱です。
これらに該当していると、侮辱にあたる可能性があります。
名誉毀損と同じく、こちらも、誰に対して発しているのか特定できる必要があります。
プロバイダ責任制限法4条に「発信者情報開示請求」という制度があります。
とはいえ、この制度では相手を特定するまでに時間制限があったり、費用がかさんだりと、被害者が泣き寝入りしてしまうケースも多くありました。
そのため、匿名で投稿したとしても、加害者が訴えられる段階にまで繋がる可能性が低かったことは事実です。
しかし、近年では被害者がこの制度によって救済を受けやすくなるよう、制度の見直しが行われています。
これにより、誹謗中傷してしまった場合、今後はより個人特定されやすくなり、裁判所へ訴えられやすくなることは間違いないでしょう。
上記のように、トラブルとなりやすい誹謗中傷を行ってしまうと、最悪の場合訴えられることがあります。
では、裁判になるとどのようなことが起きるのでしょうか。
誹謗中傷してしまった場合、被害者は、精神的苦痛を受けていることが大半です。
そのせいで外出できなくなった、仕事を辞めなければならなくなったという派生した被害を受けていることもあります。
誹謗中傷・名誉毀損で訴えられた場合、不法行為(民法709条)に基づいて精神的な被害に対して慰謝料を請求されたり、実生活上の被害に対して損害賠償請求をされる可能性があります。
名誉毀損やプライバシー権侵害の慰謝料の金額は、大体「数十万円」といわれています。
しかし、相手が有名人や法人であったり、被害が大きかったりする場合には「100万~500万円」の請求をされることもあります。
民事とは別に、刑事罰を受けることもあります。
誹謗中傷によって成立する可能性のある犯罪は、名誉毀損罪や侮辱罪以外にも下記の罪で逮捕されるケースがあります。
もちろん、犯罪になれば、当然前科がつきます。
前科は一度ついたら取り消すことができず、その後の人生に大きな影響を及ぼすものです。
前科をつけないためにも、後述する相手との「示談交渉」を行う必要があります。
ネットでの誹謗中傷を後悔して反省しているにも関わらず、被害者から訴えられそうになった場合には、被害者に「示談交渉」を持ちかける謝罪することで裁判を避けることができる可能性があります。
示談とは、裁判所を介するのではなく、当事者同士で話し合いを行い謝罪をし紛争を解決することをいいます。
基本的には、被害者が要求する慰謝料の額を払うことで、被害者に「刑事告訴をしない」「裁判を取り下げる」「口外しない」といったことを約束してもらいます。
そのため、裁判で認められる慰謝料の額よりかは高くなることが一般的です。
今回は、ネット誹謗中傷の加害者になってしまった場合、被害者と示談交渉することで裁判を回避する方法について解説しました。
誹謗中傷は、近年のテラスハウスなどの事件も受けて、さらに注目が集まっています。
そのため、昔は制度や社会状況上訴えにくかった事案でも、今では認められやすくなっているものもあります。
もちろん、誹謗中傷の書き込み内容が名誉毀損や侮辱などの要件を満たしていなければ、訴えられることはありません。
「自分の書き込みが訴えられそうで怖い…」と不安なのであれば、一度書き込み内容を弁護士に相談して、これで訴えられる可能性がありそうか判断してもらいましょう。
再三申し上げていますが、そもそも誹謗中傷は褒められた行為ではありません。
誹謗中傷をしてしまったせいで裁判になるかもしれない、という不安を抱えることがないよう、今後はネット上での発言に気を付けるようにしましょう。