削除の仮処分とは|インターネット上の名誉毀損記事を削除する
ネット上で名誉毀損、誹謗中傷の書き込みをされたら「仮処分」によって削除させることができます。裁判所を使った手続きで難…[続きを読む]
どこの病院で働こうか悩んでいる看護学生、転職したいと思っている看護師が多く利用する「ナース専科」。
良い口コミなら「この病院で働きたい!」と思ってくれるかもしれませんが、悪い口コミであれば応募数も減り、最悪病院自体の評価が落ちる可能性があります。
そんなことにならないよう、悪質な口コミは早めに削除したいものです。
そこで今回は、ナース専科で悪質な口コミが書かれた場合の対処法をご紹介します!
「ナース専科」とは、株式会社エス・エム・エス キャリア(SMS)が運営する国内最大級の看護師・看護学生コミュニティサイトのことです。
看護師・看護学生同士で話したり、悩みを解決できる「ラウンジ」、各地の病院の職場事情を知ることができる「職場レポート」、看護師国家試験の過去問が手に入る「試験対策」など、看護に関する様々な情報を掲載しています。
これに限らず、最新の医療ニュースが載っていたり、会員限定のプレゼント企画といったキャンペーンを実施していたりもします。
また、ナース専科には「就職ナビ」や「求人ナビ」といった他のサイトも存在し、情報量の多さからも参考にする人が多いようです。
先述したようにナース専科はコミュニティサイトであるため、嘘の口コミや誹謗中傷といった悪質な口コミを投稿されることがあります。
実際、以下のような口コミが書かれたことのある病院も多いのではないでしょうか。
ナース専科は利用者数も多い分口コミが広がることも多く、病院に対する信頼にも悪影響が広がる可能性があります。
こういった悪意のある口コミに対処するにはどうしたらいいのでしょうか。
まずあげられるのは、該当する口コミをナース専科に違反報告をして削除してもらうことです。
ナース専科に違反報告するには、①利用規約やガイドラインを確認する②違反報告で削除申請をするという手順を踏む必要があります。
ナース専科は利用規約で投稿内容に関して、信用や名誉毀損・誹謗中傷・個人の特定に繋がる投稿など18項目にわたる禁止事項をあげています。
また、口コミ投稿のガイドラインも別で用意されており、これに違反した場合は口コミを削除するとしています。
以上の2つを見て、どこかしらに該当する口コミであれば違反報告から削除申請をすることができます。
確認して、該当する項目をチェックしておきましょう。
利用規約及びガイドラインに反する口コミであることを確認したら、当該投稿の左下に小さくある「違反報告」をクリックすることで違反報告のフォームに飛ぶことができます。
違反報告フォームでは違反区分を選んで説明を書きます。
違反区分には以下の10項目が表示されるので、該当するものを選びましょう。
説明部分には、口コミのどの部分が問題なのか、その部分が利用規約(ガイドライン)のどこに反するのかを丁寧に記述し、送信するようにしましょう。
違反報告によって口コミが削除されればいいですが、運営側が問題ないと判断すれば削除されないことも勿論あり得ます。
その場合、法的対処する方法をとる必要があります。
法的に口コミを削除してもらうには、「送信防止措置請求による削除」と「裁判所による仮処分命令」の2種類をすることができます。
口コミによって権利が侵害されている場合は、プロバイダ責任制限法(3条1項)によって「送信防止措置」を行うよう、運営側に依頼することができます。
「送信防止措置請求」と聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、名誉毀損の情報を他の人に見られないように措置するように請求すること、つまり口コミ削除の請求を行うことを指します。
送信防止措置請求をする方法は基本的に運営側への郵送が多いですが、問い合わせフォームなどから受け付けているところもあります。
請求先の公式HPなどを見て確認してから送るようにしましょう。
依頼するときの書面の書き方もネットで調べると出てきます。
弁護士に相談しないのであれば、雛型を参考にするといいでしょう。
ただし、請求したからといって必ずしも削除されるとは限りません。
運営側が明らかに権利侵害の口コミと判断した場合は削除されますが、口コミには微妙なラインのものも多くあります。
こうした削除の判断が難しい場合、運営側で該当する口コミを丁寧に審査し、投稿者に削除していいかの意思照会をして、同意が得られたら削除するという運用がされています。
もちろん、投稿者からの返信がない場合や、反論してきても削除が妥当だと判断されれば削除されます。
しかし反論があった場合に削除してしまうと、逆に投稿者が運営側をプロバイダ責任制限法で訴えることができてしまうので、削除される可能性が低くなるかもしれません。
送信防止措置でも認められなかったり、削除申請に法的拘束力をもたせたい場合は、裁判所に該当する口コミの削除の仮処分命令を出してもらうことも一つの手です。
仮処分とは正式な訴訟によって確定判決を得る前に行う、暫定的な処分のことを言います。
訴訟を起こすこともできますが、大きなコストや時間がかかるため、比較的短期間で行える仮処分の方が早く口コミを削除することができます。
削除の仮処分については以下のページで詳しく解説していますので、ご参照ください。
何度も同じような悪い口コミを投稿されている場合は、投稿した人を特定して法的に罰してもらいたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合は「発信者情報開示請求」によって投稿した人を特定して、名誉毀損による慰謝料請求が可能です。
匿名で投稿できる掲示板などでは、その掲示板の管理者に投稿した人の個人情報を請求しても、そこまで詳しい情報はもっていない場合が多いです。
そのため、管理者にはIPアドレスやタイムスタンプなどの情報を開示してもらい、そこから判明する携帯会社などのプロバイダにさらに開示請求をすることによって、相手を特定します。
相手が特定できれば、名誉毀損による損害賠償請求訴訟などを起こして慰謝料を請求することが可能になります。
発信者情報開示請求については以下のページで詳しくご紹介しています。
以上がナース専科に悪い口コミが書かれたときの対処法です。
口コミはいつの間にか広がり、あらゆるところで影響を及ぼすものです。
対処しようと思ったら、まずはナース専科への違反報告など簡単なところから始めてみましょう。
また、送信防止措置を請求したり、投稿者の特定や仮処分を求める場合は手続きが複雑なものもあるため、弁護士に早めに相談するようにしましょう。