削除の仮処分とは|インターネット上の名誉毀損記事を削除する
ネット上で名誉毀損、誹謗中傷の書き込みをされたら「仮処分」によって削除させることができます。裁判所を使った手続きで難…[続きを読む]
病院やクリニックを経営されているなら「ナスコミ」というサイトをご存知かもしれません。
ナスコミとは、看護師向けの転職情報サイトです。ユーザーである看護師から勤務先である病院などの口コミ情報が投稿されていて、転職先の病院を探す看護師が参考にしています。
ナスコミで虚偽の誹謗中傷をされると看護師が警戒して応募しなくなり、人手不足に陥ってしまうリスクが発生します。
今回はナスコミで嘘の誹謗中傷をされたときに口コミを削除したり投稿者を特定したりする方法を解説します。
目次
ナスコミは、「ナース口コミ(nurse kuchicomi)」の略で、その名の通り看護師が口コミ投稿をするサイトです。投稿内容は、勤務先のクリニックや病院、介護施設の就業環境についてです。
働きやすいか働きにくいか、問題点があるならどのような問題があるのかなどが実体験にもとづいて具体的に書かれており、求職中の看護師たちが口コミを参考にして応募先の病院やクリニックを選びます。
ナスコミには日々多くの口コミが寄せられます。1つにはナスコミで「ポイント制」が導入されていることと関係します。
ナスコミで他の看護師の書いた口コミを読むには、1つの口コミについて「100ポイント」が必要です。ポイントを獲得するには口コミを投稿する必要があり、1つの口コミを投稿すると「100ポイント」が付与されます。つまり他の病院の口コミを読みたければ自分が口コミを投稿する必要があるのです。そこで看護師たちは、「別の病院の情報を知りたい」という思いで勤務先の病院についての口コミを投稿します。
またナスコミでは病院の口コミを投稿した看護師の中から毎月抽選で100名に「100円分のamazonギフト券」を配布しています。こういったポイント制やキャンペーンが適用されるので、全国の看護師たちが積極的にナスコミへ勤務先に関する情報を提供しています。
ナスコミに投稿される口コミは、真実とは限りません。中には勤務先や特定の病院に対する誹謗中傷や悪口もあります。
他人の口コミを読みたいので適当に虚偽を書き込む人もいますし、勤務先に不満を抱えていて嫌がらせのために悪口を書いてしまう人もいます。
ナスコミでの悪口の例としては、以下のようなものがあります。
このような虚偽の誹謗中傷が行われると、対象となった病院への求職者が減ってしまい、病院側が大きな損害を受ける可能性があります。
ナスコミでは、どのような投稿でも自由にできるわけではありません。他人の権利を侵害するような違法な口コミ投稿は禁止されています。
ナスコミには「利用規約」があり、ユーザーは以下のような行為をしてはならないと規定されています(ナスコミ利用規約8条)。
引用:「利用規約」
利用規約に違反する投稿が行われた場合、ナスコミ運営会社は投稿者に通知せずに口コミ投稿を削除できますし、悪質な場合には会員資格を停止したり抹消したりできます(利用規約10条)。
病院やクリニックなどの施設がナスコミに悪口を書かれた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
ナスコミに悪口を書かれても、削除できるとは限りません。マイナス情報を書かれた病院からの削除依頼にすべて対応していたら、「良い情報」しかない嘘情報のサイトになってしまいます。そこでナスコミでは基本的に口コミの削除依頼に応じていないからです。
ただ、利用規約に違反する内容の投稿や明らかに違法な口コミについては、削除対応しています。ナスコミで悪口を書かれて困っているなら、まずはナスコミ利用規約に違反する内容かどうかを検討しましょう。利用規約に違反するなら、内容を知らせることによって削除してもらえる可能性が高いからです。
削除されるのは以下のような場合です。
自分では上記のような法的判断が難しい場合、弁護士に相談してみるようお勧めします。
口コミがナスコミの利用規約に違反しているなら、「お問い合わせフォーム」を使って運営者へ通報しましょう。
このとき「お問い合わせ内容」の欄で「なぜ利用規約違反といえるのか」をわかりやすく詳細に説明する必要があります。
たとえば名誉毀損のケースなら「~と書かれていますが、事実と異なります。投稿者は以前当院で問題行動を起こして解雇された看護師であり、腹いせに嘘の誹謗中傷の投稿を行っています。また言葉遣いも当院を激しく侮辱するものとなっており、名誉毀損や侮辱罪が成立すると考えられます」など。
なりすましのケースなら「この口コミは、実際には当院で働いている看護師が書いたものではありません。なぜなら~が不自然だからです」などと書きます。
削除理由の欄の書き方は具体的なケースによって異なります。自分で適切に書けない場合、弁護士に相談してみてください。
お問い合わせフォームを使って削除依頼してもナスコミ側が対応しない場合には、弁護士に依頼して裁判所で「仮処分」を申し立てる方法を利用しましょう。仮処分申請が通れば裁判所がナスコミ側に削除命令を下すので、口コミが削除されます。
投稿を削除しただけでは不十分で、投稿者を特定して損害賠償請求したい場合や「二度と嫌がらせの投稿をしない」と約束させたい場合には、投稿者の特定を行いましょう。
ナスコミで誹謗中傷の口コミをした投稿者を特定するには、まずはナスコミに対して投稿者のIPアドレスの開示請求をする必要があります。任意開示されない場合、裁判所で「仮処分」という手続きを行い裁判所からナスコミに投稿者のIPアドレスの開示命令を出してもらいます。
次にIPアドレスから投稿者の経由プロバイダを特定し、プロバイダに対して発信者情報開示請求を行います。すると、プロバイダから投稿者の氏名や住所、電話番号やメールアドレスなどの個人情報が開示されます。
ナスコミで誹謗中傷されたとき、警察に相談しても対応してもらえないケースが多数です。警察は「犯罪が成立するとき」にしか動かないからです。ただし悪質な脅迫や業務妨害が起こっているケースなどでは警察が対応してくれる可能性もあります。そういったときには警察に相談してみる価値があります。
ナスコミの誹謗中傷で困ったとき、警察よりも頼りになるのは弁護士です。弁護士は「利用規約に違反するか」「権利侵害が起こっているか」「どのような権利が侵害されているか」を判断できますし、仮処分や訴訟などの手続きにも対応可能です。
ナスコミの嘘の悪口や誹謗中傷に困ったときには、まずは弁護士に相談するのが良いでしょう。
ナスコミで病院の名誉が毀損された場合、口コミの投稿者へ損害賠償請求できる可能性があります。ただし名誉毀損による損害賠償が認められるのは、投稿内容が「明らかに悪意に満ちた虚偽」など、よほど悪質な場合に限られると考えましょう。
単に「ブラック」「パワハラ」などと書かれただけでは賠償金の請求は困難です。
たとえば「爆破予告」「脅迫」「医師や院長を名指ししての虚偽の誹謗中傷(不倫しているなど)」などの場合には損害賠償が認められやすいといえます。
弁護士に対応を依頼すると弁護士費用が発生します。削除だけなら5万円程度から依頼できますが、投稿者の特定には20万円以上の費用が発生するのが通常です。
必ずしも相手に賠償金を支払わせられるわけではないので、弁護士費用が持ちだしになってしまう可能性も考えておきましょう。削除しただけで解決できるなら、削除のみ依頼するのも1つです。相手がしつこく悪質な場合には投稿者の特定をして賠償金の請求をした方が良いでしょう。
またナスコミの削除や投稿者特定を依頼する際には、ネット誹謗中傷問題に積極的に取り組んでいる弁護士を選ぶ必要があります。ネット問題が得意でない弁護士に依頼しても、スムーズに削除や投稿者特定に結びつかない可能性が高くなるからです。
ホームページの情報等をみて、なるべくネット問題に詳しそうな弁護士に相談してみてください。
弁護士法人YMPでは「発信者(犯人)の特定」を得意としております! 爆サイ、ホスラブ、5ch、2ch、たぬき、各種ブログ、口コミサイト、SNS等の誹謗中傷にお困りでしたら、お気軽ににご相談下さい!
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病院やクリニックがナスコミで誹謗中傷されると、悪影響が大きくなります。削除や投稿者の特定ができるかどうか確かめるためにも、1度弁護士に相談してみるようお勧めします。