ネット名誉毀損で慰謝料請求する手順と慰謝料相場
ネット上で名誉毀損されたり、悪口を書かれた場合、どのような対策方法を執ることが出来るのでしょうか。名誉毀損の慰謝料相…[続きを読む]
不倫をしていたり男女問題がもつれたりすると、別れた相手からネット上で誹謗中傷される例があります。
そのような被害を受けると、家族や会社に不倫がばれてしまうおそれもありますし、社会内での評価が下がってしまい、大きな不利益を受けることになります。
このような被害はなぜ起こり、また起こってしまった場合にはどのようにして対処すれば良いのでしょうか?
今回は、別れた相手からネット上で悪口を書かれたり嫌がらせをされたりした場合の対処方法をご紹介します。
目次
不倫はしないことが一番ですが、別れた後、こじれると大変なことになることが多いです。
昔から不倫相手に恨まれて嫌がらせやつきまといをされることはありましたが、最近ではネットを使うことができるので、誰でも簡単に相手に嫌がらせをすることができます。
ネット上では、自分の感情を止めるものがなく、感情的になって走りがちなので、極端な行動に出やすく、面と向かっては到底言えないようなことでも平気で書き込めてしまうのが、恐ろしいところです。書き込む本人が認識している以上にネットの拡散力と影響力が強く、書き込まれた本人は社会生活に影響が出てきます。
実際、最近そのような男女関係を発端とした誹謗中傷トラブルが非常に増えています。
それでは、男女問題がもつれると、具体的にネット上でどのような嫌がらせがあるのでしょうか?以下で具体的なケースを見てみましょう。
最も多いのは、名誉毀損的な書き込みをされるケースです。
たとえば、このようなケースがあります。
Aさんは既婚者ですが、3ヶ月ほど前に別れた不倫相手の女性から嫌がらせを受けるようになり、SNS上で実名や会社名をさらされてしまいます。Aさんはいつ家族や会社にバレないともわからないので、非常に不安を感じています。
また、相手は「絶対に許さない」「土下座しても許さない」「自殺してやる」「制裁を加える」などの極端な内容を書いてくるため、Aさんは精神的に疲弊しています。
Bさんは、以前不倫していた女性を妊娠させてしまいました。そのときは、お互いが納得して中絶をしました。中絶費用はBさんが負担しました。
ところがその後、女性が「騙された」「一生消えない傷を負わされた」「鬼畜」「慰謝料を支払わないと絶対に許さない」など、極端な内容のブログを書いたため、Bさんは精神的に疲弊して、ノイローゼになり、眠れなくなって毎日の仕事にも支障をきたしています。
Cさんは、女性ですが、別れた相手からしつこく嫌がらせを受けて困っています。「あいつは結婚すると言っていたのに騙された」「誰とでも寝る軽い女」「最低な汚いやつ。だまされるなよ。」など、めちゃくちゃな内容を、2ちゃんねるや爆サイなどの匿名掲示板に書かれているので、Cさんは外に出るのが怖くなってしまいました。
このように、ネット上で嫌がらせを受けると、被害は深刻になります。放っておくと被害者の生活や仕事に支障が及びますし、家庭がある人は、家庭を壊されてしまうおそれもあります。
ネット上に嫌がらせの投稿をしたら、法的にはどのような問題があるのか、具体的に見てみましょう。
まず、名誉毀損罪(刑法230条)が問題になります。
名誉毀損とは、公然と事実を摘示することによって、人の社会的評価を低下させる行為のことです。ネット上における誹謗中傷や嫌がらせでも、それが事実の提示によって人の社会的な評価を下げるものであれば、名誉毀損罪となります。
この場合、「事実」というのは、虚偽か真実かを問いません。この点はよく誤解されているのですが、名誉毀損は真実の内容を書き込んだとしても成立するのです。
「不倫をしていた」とい事実も、通常は社会的評価を低下させるものと判断されます。そこで、ふられた腹いせに浮気相手の「不倫の事実」をネット上に公開すると、名誉毀損になる可能性が高いです。
たとえば、上司や友人、夫や部下などの不倫の事実を掲示板サイトやSNSなどで公開すると、それだけで「名誉毀損」になります。内容が真実であっても名誉毀損になるので、「不倫していて捨てられた」「〇〇の子どもを妊娠して中絶した(事実)」などと書かれただけでも「名誉毀損」になる可能性があります。
もちろん、内容が虚偽の場合、より悪質性が強くなります。
子どもを下ろしていないのに中絶を強制されたと書かれたり、性病を移されたなどと書かれたりしたときにそれが名誉毀損になることは、イメージしやすいでしょう。
名誉毀損が成立すると、3年以下の懲役または禁固もしくは50万円以下の罰金刑が科される可能性があります。
別れた相手に嫌がらせの記事や画像などの投稿をした場合、プライバシー権侵害になる可能性があります。
プライバシー権とは、私生活上の事実をみだりに開示されない権利ですが、氏名や住所、出身学校名や家族構成、勤務先などもプライバシー権の保護対象となります。そこで、不倫相手の実名や出身校の名称、勤務先、メールアドレスなどをネット上に公開したら、プライバシー権侵害になる可能性があります。ネット上で相手が写っている写真を公開した場合にもプライバシー権の問題が発生します。
プライバシー権侵害は、それ自体は犯罪ではありませんが、民事損害賠償の対象になります。つまり、プライバシー権侵害をすると、慰謝料が発生する可能性があるということです。
ネット上で相手の個人情報や相手が写っている写真を公開すると、それがリベンジポルノに該当しないものであってもプライバシー権侵害になる可能性があります。
別れた相手への嫌がらせにより相手の名誉を毀損した場合には、犯罪が成立すると同時に民事的には不法行為になります。
こうした行為が犯罪になるのはそれが違法だからですが、不法行為は、違法な行為によって相手に損害を与えることです。そこで、違法な犯罪行為によって相手に損害を与えた場合には相手に対する損害賠償をしないといけません。
名誉毀損を行うと、警察に逮捕されて刑罰を科される可能性があり、同時に被害者本人に対して損害賠償(多くは慰謝料支払い)をしないといけなくなります。
被害者の側からしてみると、これらの被害に遭った場合、相手を刑事告訴して取り締まってもらうこともできますし、相手に対して慰謝料請求もできる、ということになります。
ネット上に嫌がらせの投稿が行われた場合には、その情報を早急に削除してもらう必要があります。
ネット上の情報は、世界中の不特定多数の人が閲覧することができますし、情報が残っていると、それがどんどん拡散される可能性があるためです。
ネット上の投稿が不法行為に該当する場合、被害者はサイトの管理者やサーバーに対して記事の削除請求をすることができます。
そのためには、まずは相手と任意に交渉をして削除してもらいますが、任意交渉では削除に応じてもらえない場合、裁判所に仮処分の申立をして、削除させる必要があります。
男女関係のもつれから嫌がらせの投稿が行われている場合、放っておいて情報が家族や会社に知られると、被害者の損害は回復しがたいものとなってしまいますから、このような事件が起こったら、とにかく早急に弁護士に依頼して情報を削除させることが何より重要です。
書き込みの具体的な削除方法は、下記の関連記事をご参考ください。
不倫や男女問題のもつれで相手から嫌がらせを受けたときには、弁護士に相談するとメリットが大きいです。以下で、その理由を解説します。
まず、弁護士に依頼すると、早急に対処することができます。
不倫などの情報がネット上に公開されたら、とにかく早く情報を削除させることが重要です。情報は、いったん拡散されるとなかったことにすることができません。
たとえば、いったん家族や勤務先に不倫がバレてしまった場合、その後相手からどんなに損害賠償をしてもらっても、家族や勤務先に不倫情報を忘れてもらうことはできません。
結局、こちらの家庭が崩壊してしまったり、妻との関係が一生ぎくしゃくしてしまったりする可能性もあります。そこで、情報の拡散前に記事の削除をすることが重要です。
ところが、被害者が自分で対応しても、スムーズに削除させることは難しいです。
たとえば、2ちゃんねるや爆サイの投稿を削除させるためには、サイト管理者に連絡をして削除に応じてもらう必要がありますが、これらのサイトは必ずしも投稿内容の削除に積極的ではありません。むしろ、自由な投稿を歓迎する態度をとっており、削除の対応は後回しにされる傾向があります。
さらに、削除してもらう貯めに「削除専用スレッド」を立てる必要があるケースもあり、そうなると、削除したもらうためにかえって情報が拡散されてしまうおそれもあります。
相手のSNSやブログ内容を削除させるのも大変です.ブログの管理者と連絡を取ること自体が大変であることもありますし、連絡が取れたとしても対応してもらえない可能性も高いです。
ここで、弁護士に対応を依頼したら、すぐに裁判所に「仮処分」を申し立てることにより、早期に記事を削除させることができます。
仮処分命令が出るまでの間は、だいたい2週間~3週間程度なので、早めに対処したら、誰にも知られないまま記事を削除させることも可能になります。
弁護士に対応を依頼すると、相手に対する損害賠償請求が容易になります。
自分で対応する場合、相手に対して損害賠償請求をしようとして相手に連絡をしても、無視されてしまうおそれがあります。このようなケースでも、弁護士が請求したら相手は対応することが多いです。
また、リベンジポルノやストーカーなどのケースでは、被害者が相手に連絡をとるのは非常に危険ですから、必ず第三者を間に入れる必要があります。
そこで、弁護士に損害賠償請求を依頼すると、弁護士が相手に内容証明郵便などで損害賠償請求の通知書を送ってくれて、強い態度で相手に賠償金の請求をしてくれるので、安心です。
男女関係のもつれが原因で相手が不当な投稿をする場合、その行為が繰り返されることが多いです。こうしたとき、被害者が自分で相手にやめるように言っても相手は余計に逆上して投稿内容がエスカレートするだけになるケースもあります。
このように、相手が不当な書き込みを繰り返している場合、弁護士が間に入って警告書を送ると、相手がその行為をやめることが多いです。
リベンジポルノやストーカーの案件でも、弁護士が間に入ることで、相手の違法行為が止むことがあります。弁護士が入っても相手の行為が止まない場合には、刑事告訴や損害賠償請求を起こすことにより、相手の行動を牽制することも可能です。
嫌がらせの投稿が行われたとき、いったん慰謝料を支払ってもらっても、また同じことを繰り返されるおそれがあります。そこで、もう2度と同じことはしないことを約束させなければなりません。
ここで、弁護士に間に入ってもらって相手と交渉をしてもらったら、相手に、同じことを2度としないことを約束させるための交渉ができます。たとえば、相手に「今後はどのような方法によっても接触しません。かかわりません」などと書いた誓約書を差し入れてもらったり、示談書に「もう二度と関わらない」などの文言を入れてもらったりすると、将来への牽制になって被害者は安心できます。
男女問題のもつれで嫌がらせを受けている被害者は、相手の行動によって身に危険を感じることがあります。実際に、ストーカー殺人なども起こっていますし、ストーカーではない男女問題が原因の刃傷沙汰も昔から多いです。
そこで、被害者と加害者が直接対峙すると、いろいろとトラブルの原因になります。
ここで、弁護士に対応を依頼したら、弁護士が間に入って被害者を守ってくれます。被害者が直接相手と接触することがないのでトラブルになりにくいですし、相手としても弁護士がついているのに派手な行動に出たら不利益があるとわかるので、滅多なことはしなくなります。
このように、離婚や不倫、浮気などの男女問題のもつれから嫌がらせを受けている場合、弁護士に対処を依頼することがもっとも効果的な対処方法となります。
相手からの嫌がらせで困っているなら、まずは一度、ネット問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
今回は、離婚や不倫、浮気などの男女問題を発端として嫌がらせが行われる場合の問題点や対処方法をご紹介しました。
弁護士に対応を依頼することが非常に重要です。弁護士に依頼すると、早急に記事を削除してもらうことができますし、相手に対する損害賠償請求も可能となり、相手の違法行為をやめさせることも可能となります。
このとき、依頼する弁護士選びが重要です。ネット上の記事削除の問題は弁護士業務の中でもニッチな分野なので、できれば専門的に取り組んでいる弁護士を探すことがおすすめです。
今、元恋人や配偶者から嫌がらせを受けて悩んでいるなら、早急にネット問題に強い弁護士を探して対応を依頼することをおすすめします。