やらせ口コミは景品表示法上に問題!悪評が書き込まれた時の対処法
口コミは、今や多くの人が店や商品を見定める大きな指標となっています。これに虚偽があれば、消費者の情報に偏りが出るだけ…[続きを読む]
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「ステマ」(ステルスマーケティング/英語で訳すると、「stealth marketing」)とは、消費者に宣伝だと気づかれないように宣伝することです。
英語のStealth(隠れる、隠密に)に由来し、ステルス戦闘機などが有名です。
ステマは、企業が意図して行うこともあれば、意図せずになってしまっている例もあります。
この記事では、住為の問題点や違法性、ステマの削除方法を解説いたします。
今や通販サイトでは様々な商品が販売されています。商品の使用感や特徴などが書かれた消費者の口コミは購入の判断材料になります。
広告主から報酬を受け取りレビューを記載していることや、広告主から提供をうけた商品の口コミであることが明記されていれば、消費者は判断できます。
しかし、これらを伏せて、あたかも一般消費者の口コミ投稿であるかのように装ってしまうと消費者をだます行為となって被害が発生します。
商品を、必要以上に優れた商品だと誤解を与えてしまうと、購入後、消費者は後悔や期待した結果を得られないことにつながってしまいます。
行き過ぎたステマ行為は、法律では景品表示法上で問題があるので、留意すべきといわれています。
消費者庁では、問題となる事例として次のように公表しています。
「商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代 行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の 評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービス に対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する 商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。」
参考:消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項 」P5
景品表示法8条には、課徴金に関する規定があります。
5条1項に反した場合は、「当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に百分の三を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付すること」が命じられます。
つまり、優良誤認表示として不当表示であると判断された場合には、売上の3%が課徴金として課されることになるのです。
次に、過去に問題となったステマ事例を紹介します。
オークションサイトが閉鎖され、詐欺事件として逮捕者が出た事例です。
オークションサイトとは名ばかりで、基本的に参加者が入札しようとしても入札できない仕組みとなっていたサイトでした。
2012年に詐欺罪としてオークションサイトの運営者が逮捕されましたが、多くの人が騙されてしまった背景に、芸能人がこのサイトをブログで紹介したことがあり、ステマとして問題となりました。
芸能人たちはオークションサイトを利用していないにもかかわらず、あたかも利用しているかのようにブログに掲載し、オークションサイトで実際に落札していない商品を落札したかのように掲載していました。
ブログに掲載した芸能人もまさかサイトが詐欺サイトだったと思わず、仕事の延長上で引き受けたのかもしれません。
しかし、芸能人のステマ行為により、多くの人が騙された代償は大きく、活動自粛となりました。「あの有名人が利用しているサイトなら安心に違いない。」と思って利用した人も多くいたでしょうし、「あの有名人が利用しているサイトなら紹介しても問題ない」と判断して掲載したブロガー、ネットメディアも数多くありました。
多くの人が加害者でありかつ被害者でもあった事件で、ステマ問題が注目され、インターネット広告のあり方を含め見直すきっかけとなった事件です。
インターネット上のモラルについて、ステマとは何か?を考えた人も多かったのではないでしょうか。
インスタには何万人ものフォロワーがいるユーザーがいます。そのようなWEB業界では、フォロワーが多いインスタユーザーを「インフルエンサー」と呼ば0れており、広告代理店が、ステマ行為を「インフルエンサー」にお願いすることがあります。
インフルエンサーには、フォロワーが何万人もいるため、一つの投稿に対する反響が非常に多いです。
服の購買やレストランでの食事の様子、アトラクションの体験写真など様々です。その中には、ステマ行為が紛れ込んでいることがあります。
やみくもに、「インフルエンサーがお勧めしている」からとか、「これを飲むと調子がよい」とかのキャプションに踊らされず、このユーザーにはあっていたとしても、自分にはフィットするのか?自分で考えてから行動すれば、ステマに騙されることは少なくなるでしょう。
ユーチューバーにもステマ行為が散見されますし、WEB業界には、常に広告があるということを念頭において、情報を収集していけば、賢い消費者となれるでしょう。
食べログがステマ行為で炎上し、食べログを運営するカカクコムの株価が急落しました。企業炎上は、企業にとって株価を急落させるリスクをはらんでいることが明らかとなった事例です。
食べログは飲食店の口コミサイトで、星の数や口コミ数などを見て人気店を探せることから、多くの人に利用されているサイトです。
2011年には、報酬をもらって食べログに口コミを投稿、ランキングを上げる業者の存在が明らかとなり炎上しました。
また、2012年には、店舗側が利用するオプション機能で有料オプションを使わなければ、店の評価を下げるといったシステムが明るみに出たことで炎上しました。
多くの人が食べて美味しいと評価している店は行ってみたいと思うものです。しかし、その評価が、お金で買われたもの、お金で操作された評価だったとしたら、行ってみたいとは思わないかもしれません。
どのようにすれば、多くの人を集客し利益につなげることができるのか、営利目的で運営している以上、様々な手を考えるものです。
しかし、その手段が結果として人の心を欺くものであったら、炎上し株価も急落します。信じていたものに裏切られた人の心ほど怖いものはありません。
口コミサイトや芸能人ブログを使ったステマ以外にも、実際の店舗で行われて企業イメージがダウンした例があります。
マクドナルドの新商品が関西ではじめて販売された際のこと、アルバイト1000人が行列を作って店の前に並び、ステマではないかと話題になりました。
マクドナルドは商品の味などを調査するモニターが目的で行列を作るためではないと否定しましたが、1000人もの行列を見て、人気があると思い買いにきた人もなかにはいたため、大きな話題となった反面、誤解されるプロモーションとして非難の対象となりました。
一度、このようなイメージがつくと、本当の行列であっても、マクドナルドの行列はお金で買われたものではないかと人は疑ってしまうものです。
「発売を盛り上げたい」その目的は決して間違っていませんが、誤解を与える盛り上げ方は逆効果です。
企業から依頼されて商品を紹介しているにもかかわらず、ただの体験談や紹介記事として掲載してしまうと、問題になります。
ステマにならないために、企業からの依頼であることを明記することが大切です。
プロモーションを全面に出すと、広告だからと読み流され、あるいは、全く読まれず、しっかりと商品のよさが伝わらない可能性もあります。だからといって、隠してしまうと問題になります。
広告だと相手に知らせながら、いかにして商品のよさを伝えるか、考えていく必要があります。
アマゾンや楽天などでのレビューも、客観的に書かないと、ステマになってしまうことがあります。
ただ、良心的なアフィリエイトの場合、
という特徴があります。まったく商品を知らないまま業者が書いた広告記事で紹介するステマとは違うと言えるでしょう。
ただ、ステマとアフィリエイトと明確に線引きできるものでもなく、ユーザーは冷静に判断しておく必要があります。
アフィリエイターなどによって恣意的に作られたランキングサイトや比較サイトで、競合の商品が上位に表示され、自社商品が下位に表示されたり事実と違う誹謗中傷をされたりすると、売上げ低下などの損失につながってしまいます。
ステマの運営元を特定できている、弁護士に依頼して、相手に対してステマ自体を削除してもらったり、損害賠償請求を行います。
ステマにより、名誉毀損や業務妨害によって実際に売上げ低下などの損失を受けているならば、その損失分を賠償させることができます。
ステマの運営元が分からない場合、法律違反とは明確に言えない場合なども多いです。そのような場合は、まずは、ネットに強い弁護士に無料相談して、ステマが削除可能かどうか、相談してみるとよいでしょう。