ネット名誉毀損で慰謝料請求する手順と慰謝料相場
ネット上で名誉毀損されたり、悪口を書かれた場合、どのような対策方法を執ることが出来るのでしょうか。名誉毀損の慰謝料相…[続きを読む]
日々世界中で増え続けている「新型コロナウイルス」の感染者。
最近では志村けんさんが亡くなり、ますますコロナを警戒する人が増えたように思います。
それと同時に、感染者やその関係者への誹謗中傷や風評被害も酷くなっていることをご存じでしょうか。
今回は、コロナによって誹謗中傷・風評被害などを受けた方々に向けて、対処法をご紹介します。
日本では2020年1月から感染者が確認されている「新型コロナウイルス」。
人に感染するコロナウイルスは7種類発見されており、そのうちの1つが今回問題となっている新型コロナウイルス(SARS-CoV2)です。
この新型コロナウイルスによる疾患がCOVID-19と呼ばれています。
発熱・咳・くしゃみ・体のだるさなど、風邪のような初期症状がおき、5~7日経っても治らずに重症化すると肺炎を発症します。
コロナに効く薬はまだ確立しておらず、対症療法で対処している状態です。
飛沫感染(くしゃみや咳で放出されたウイルスを口や鼻で吸い込んで感染すること)と接触感染(感染者が咳などを押さえた手で触れたものについたウイルスを触って感染すること)によって感染すると考えられています。
多くの感染者は他の人に感染させていませんが、「換気が悪く(密閉)」「人が密に集まって過ごし(密集)」「不特定多数の人が接触するおそれが高い(密接)」、所謂「3密」の状況にあった1人の感染者から多数の感染者を生み出していることが確認されており、この「3密」を回避するよう注意が呼びかけられています。
新型コロナウイルスは最悪の場合、死に至ることもあります。
また、休校や外出自粛、オリンピック延期といった異例の対応が起きていることから、国民のコロナへの警戒が高まると同時に、感染者に攻撃的になってしまっているのです。
特にSNSや匿名掲示板によって、以下のような被害が増えています。
感染者の住む地域や職場など、個人情報が特定されてネット上で晒され、拡散されています。
その一例としてあげられるのが、海外旅行に行った後、懇親会に出席してクラスターを発生させた可能性があるとして話題になっている京都産業大学の学生です。
また、特に近隣の住民同士の情報網が強いような地域での感染者の中では、家まで特定されている人もいるようです。
他にも、感染者の知り合いが「あそこの店で働いていた人」「向かいの家の人」といった情報をSNSで流してしまうこともあり、完全な特定までは行かずとも一部の個人情報が流出してしまっているのです。
個人情報が流出すると同時に、「もう二度と顔出すな」というような暴言による誹謗中傷や名誉毀損をされている例もあります。
感染者が確認されたことで一時期話題になった北播磨総合医療センターでは、医者や看護師に対して「バイ菌扱い」されたり、陰口を叩かれたといいます。
ひどいときには、感染者に対して「一家皆殺害しろ」という脅迫のような投稿を目にすることもあります。
感染に気をつけるべきなのは当然ですが、感染者を犯罪者だと見る人もおり、症状が出ても周りに相談できないような風潮ができてしまっているのは問題であると言えます。
感染者についての情報が拡散されることで、感染者だけではなく、その家族や働いていた職場までも被害を受けています。
感染者が確認された店や施設への客足が遠のくのは勿論、「そこで働いていた人」というだけで避けられるようになっているのです。
例えば、先ほどと同じく北播磨総合医療センターの職員で、接触していないにも関わらず、そのセンターの職員の家族であるというだけで介護施設や塾の利用を控えるよう言われたという事例があげられます。
そのため、どこも感染者によって風評被害がでることに敏感になっており、感染者だと思われる人に検査を受けさせなかったり、口止めをするような「感染隠し」が見られるようになっています。
上記以外でも、トイレットペーパーの件やロックダウンの「デマ」、厚生省からのLINEの「なりすまし」など、ネット上では様々な問題が発生しており、混乱を招いています。
ネットは便利なだけではなく、デメリットも存在するということを実感した方も多いのではないでしょうか。
感染に対して敏感になっているこのご時世で、軽率な行動をとって感染した人がいると、責めたくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、感情にのせてネットで誹謗中傷や風評被害をもたらすような書き込みをしてしまうと、犯罪になる可能性があることをご存じでしょうか。
特定できるような相手に向けて、上記のような社会的評価をさげるような書き込みをした場合、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。
これは、書き込みの内容が事実か嘘かは関係ありません。
名誉毀損罪になると3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金刑に、侮辱罪になると拘留または科料が科せられます。
上記のように、他人を脅したり、それによって何かを強要するような書き込みをした場合、脅迫罪や強要罪が成立する可能性があります。
脅迫罪になると2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑、強要罪の場合は3年以下の懲役刑が科せられます。
上記のような書き込みで、嘘の情報を流した場合、信用毀損罪や業務妨害罪が成立する可能性があります。
どちらとも、成立した場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が科せられます。
書き込みによって損害を被った場合は民法709条で損害賠償を請求し得ます。
例えば、個人情報や顔写真の流出(プライバシー権侵害・肖像権侵害)が原因で内定が取り消しになったり、やむなく引っ越しをしなければならなくなったような場合があげられます。
また、精神的苦痛による慰謝料請求をすることも可能な場合があります。
ここまでで、ネット上の書き込みでも上記のような罪が成立する可能性があることがわかりました。
それでは、ここからは実際に被害を受けた場合の具体的な行動についてご紹介していきます。
新型コロナウイルスによる誹謗中傷・風評被害が注目されており、各都道府県や地域で相談窓口を設置しています。
また、コロナによっていじめを受けている子供に向けた「子供のSOSの相談窓口」(文部科学省)や、SNSで被害を受けた人に向けた「新型コロナウイルス感染症SNS心の相談」(厚生労働省)というサービスも開始しており、気軽に相談をすることができます。
勿論症状についての相談を受付けている窓口もありますので、コロナに関係する相談をしたい場合は厚生労働省のHPから検索してみてください。
個人情報や誹謗中傷といった書き込みがされている場合、Twitterでは通報、5ちゃんねるでは削除依頼など、それぞれの運営者に向けて削除依頼を出すこともひとつの手です。
ただし、運営側の判断で任意に削除が行われるため、必ずしも希望通りに削除してくれるとは限らないことに注意してください。
以上が、新型コロナウイルスによってネットトラブルに巻き込まれたときの対処法です。
現在、外出自粛が増えており、家で過ごすためにストレスが溜まりやすい状況になっています。
そのため、気軽に利用できるネットでのトラブルがこれからも増えていくと考えられます。
被害を受けた方は一人で抱え込まずに誰かに相談してみたり、自分で行動できる範囲から対処してみてはいかがでしょうか。