TikTok(ティックトック)の危険性・問題点と対策について
近年SNSの中でも人気急上昇中の「TikTok」(ティックトック)。
「TikTokをやりたい!」と言っていたり、実際にTikTokをやっているお子さんをもつご両親も多いのではないでしょうか。
しかし、そもそもTikTokのことをよく知らないのと同時に、SNSトラブルに子供が巻き込まれることを心配する方も多いでしょう。
実際に、TikTokでは様々なトラブルが起きています。
そこで今回は、TikTokの問題点や親がするべき対処法について詳しくご紹介していきます!
目次
TikTok(ティックトック)とは
「TikTok」は2016年9月に中国でサービスが開始されたショートムービーアプリです。
日本では2017年10月にリリースされました。
BGMをつけたり加工ができたりと、誰でも簡単に15秒間の短編動画を作成し、投稿・共有することができます。
また、TwitterやInstagramといったSNSに比べて、簡単に「いいね」やコメントがもらえることも特徴です。
年々若い世代がスマートフォンを持つことが当たり前になってきている世の中で、その手軽さからも自己表現の一種として10代の子供たちに人気となっています。
また、13歳未満は利用が禁止されているにもかかわらず、隠れて利用する小学生の割合が高いと言われています。
非公開アカウントで「見るだけ」ユーザーも多数いると言われています。
TikTok(ティックトック)の危険性
利用規約に反した年齢の子供がTikTokを利用していることも問題のひとつですが、他にも危険性が存在します。
以下ではまず4つの危険性について触れた後、一番注意する必要があるプライバシー関連の危険性についてご紹介します。
TikTokの危険性①:依存・過激な行為
前述した通り、Tiktokは他のSNSに比べて「いいね」がつきやすく、多感な10代の子供たちにとっては魅力的なアプリです。
また、アプリ内で綺麗に加工でき(盛れる)、簡単に編集を行うことも可能で、他の動画を参考にするだけで完成度の高い動画が作成できます。
そのため、現実と動画の自分のギャップに悩んだり、「もっと評価されたい、有名になりたい」という気持ちが膨らんでしまい、TikTokに夢中になってしまうのです。
加えて、もっと注目を集める動画を作りたいがために、購入前の飲み物を飲んだり線路の上でダンスを踊ったりと、犯罪や過激な行為を撮影したものを投稿する人も少なくありません。
TikTokの危険性②:著作権侵害
TikTokは動画内でBGMをつけられることが魅力のひとつですが、使用する音源によっては著作権侵害をしている可能性があります。
一応、TikTokの運営会社であるByteDanceは音楽会社と包括契約を結んでおり、他のSNSに比べれば著作権侵害の心配性は低いです。
とはいえ、許可の取れていない音源を使用している動画があったり、オリジナルの曲(本家)を「TikTokの曲だ」と誹謗中傷するユーザーがいたりと、トラブルが起きていることは事実です。
TikTokの危険性③:子供間でのトラブル
児童・生徒の中では、同じ学校やクラスでTikTokをやっている人がいる、ということは珍しいことではありません。
そのため、利用している子供同士のトラブルに発展する危険性があります。
投稿された動画を見て、同じ学校の人がコメント欄に悪口を書き込んだり、その動画を拡散して笑いものにするケースもあります。
また、TikTokは匿名で行うことができるため、言葉が過激になりやすく、いじめがエスカレートする可能性も高くなります。
小学生が、自分のいじめ被害をTikTokを使って告発しているケースもあるほどです。
TikTokの危険性④:他人の権利侵害
これはYouTubeなどのSNSでも言えることですが、動画を撮影するにあたって他人に迷惑をかけている可能性があります。
例えば外で撮影を行った場合、道を塞いで邪魔になっていたり、知らないうちに他人が映っていることがあります。
迷惑行為は周囲の人から怒られることは勿論、最悪肖像権の侵害で訴えられるなど、大事に至る危険性も考えられます。
TikTok最大の問題はプライバシー関連
TikTokの中で一番問題となっているのは、プライバシーに関連する危険性です。
この問題点については主に4つに分類することができます。
ひとつひとつ確認していきましょう。
個人情報の流出
TikTokで最も問題視されているのは、個人情報の流出です。
現在はSNSが使われることが当たり前になっており、「周りが使っているから大丈夫だろう」と安易な気持ちで利用してしまう子供も少なくありません。
ですが、ネットリテラシーを十分に学んでいない状態でTikTokを使っていると、知らぬ間にトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。
一部のユーザーのプロフィール欄を見ると、自分の氏名や住んでいる地域を載せていたり、コメント欄に撮影場所の名前をあげていたりするものがあります。
このような情報をSNS上に載せていると、動画を見ている人はすぐに生活圏を知ることができてしまいます。
また、動画で着ていた制服から学校を特定され、そこから住所まで特定されることもあります。
一例として、動画に「そこって〇〇だよね?そこに行けば会える?」というコメントが来た人もいるそうです。
ネット上で個人の特定を得意とする人たち(「特定班」などと呼ばれます)の力を侮ってはいけません。
場所などをバラしていないとしても、動画を見た人の中で同じ地元に住んでいたり、知り合いがいればすぐに身元が判明してしまいますし、位置情報を許可したままだと撮影場所の情報が自動で記載されてしまいます。
性犯罪の危険性
TikTokは小学生など可愛らしい女の子が動画を投稿しているケースも多いです。
その動画のコメント欄を見ると、「LINEやってる?」と明らかに下心をもって接している大人が見受けられます。
実際、出会い目的で成人男性が女の子をフォローしていたり、声をかけていることが多いのです。
この場合、もし上記のように個人情報が特定されれば、性犯罪に巻き込まれることも考えられます。
また、TikTok(オンライン上)で知り合った人と現実で顔を合わせる「オフ会」(オフライン会)を呼びかける人もいます。
親に何も言わずオフ会で知らない人と会い、トラブルに巻き込まれることも懸念されます。
動画の悪用
YouTubeでTikTokの動画まとめを検索してみると、「TikTok黒歴史集」「可愛い女児まとめ」「勘違いブス集」などと複数の動画が編集されてあげられているのを見ることができます。
TikTokの動画は簡単に誰でもダウンロードすることができ、いつの間にか悪用されていることがあるのです。
誹謗中傷や卑猥なコメントも多く、削除したいと思ってもこれらの動画はなかなか削除することができません。
そもそも一度保存されてしまえば、自分がTikTok上から動画を消したとしても、いつまでも転載されてしまうことになります。
アプリ自体の危険性
現在、TikTokが集めた個人情報を中国政府に送信しており、スパイツールになっているのではないかと指摘されています。
2019年2月には、TikTokが違法に子供の情報を収集していたとして米連邦取引委員会に訴えられ、570万ドル(約6億3000万円)の支払いで和解したという事件がありました。
また、2020年に入ってからもアメリカのトランプ政権が米国内でのTikTok利用禁止を争い(現在上訴中)、インドではTikTokを含めた複数の中国企業アプリを禁止しています。
これに対してTikTokは「要請があっても政府に情報を渡さない」と反論したり、中国政府がアルゴリズムの技術輸出を規制することでByteDanceの事業売却に中国政府の承認がいるようにしたりと、抗っている状態です。
実際、中国にはインターネット安全法(サイバーセキュリティー法)を定めており、政府の要請があったときは企業もデータ提供などの協力を義務づけられています。
このことからも情報の流出が懸念されているわけですが、TikTokが収集した個人情報が本当に渡されることがないのかといった危険性は依然不透明であり、絶対に安全であるとは言い切れないのが現状です。
TikTokは見るだけでも危険なの?
TikTokは、アカウント登録をしなくても他人の動画を見たりフォローしたりすることができます。
自分では動画をアップしない人でも、TikTokを見ていることが少なくありません。
そこで、「登録しないで見るだけでも危険なの?」と思われる方もいらっしゃると思います。
この記事でもご紹介しているように、TikTokの危険性は動画を公開することによるものがほとんどです。
アカウント登録をしなければ動画のアップはできませんし、他の人にコメントもできません。
唯一、TikTokアプリに不正侵入される可能性がある(いわゆるバックドアなど)としてアプリ自体の危険性は問題になり得ますが、アプリ経由で一般ユーザーのスマホ内にある個人情報まで漏えいすることは通常考えにくいです。
そのため、見るだけであるならプライバシー関連の問題も基本的には生じず、相対的に危険性は低いといえます。
とはいえ、友達があげた動画を見てからかうといった、子供間のトラブルは発生する可能性があるので注意してください。
子供が安全にTikTokを使えるために親ができる対策
このように、TikTokを利用するには様々なリスクや危険があることがわかります。
子供が同じ危険に晒されているのでは、と不安になるご両親もいらっしゃるでしょう。
何かトラブルに巻き込まれてしまっても、警察は被害が出てからでないと動いてくれません。
もし利用を続けるのであれば、問題に巻き込まれないよう自己防衛する必要があります。
ここからは、子供が安全にTikTokを使えるように親・保護者ができる対策についてご紹介します。
使用方法を確認する
まず確認したいのが使用方法です。
TikTokは利用規約により13歳未満は利用することができません。
よって、小学生の子供が利用したいという場合は、禁止されていることを伝えてください。
子供が中学生以上の場合、ただ単に動画を見るだけにするのか、それとも動画を投稿するのかを決めて、利用規約を読んでやってはいけないことを確認しましょう。
特に動画を投稿するのであれば、前述したようなリスクがあること、動画はネット上から完全に消し去ることはできないことを伝え、TikTokを使う危機感を持たせることも大切です。
また、動画の投稿・コメントの確認を親が行うようにすると決めてしまうのも一つの手です。
プライベートアカウントを設定する
「設定」→「プライバシー設定」→「プライベートアカウント」をONにすることで動画に関する行為を制限することができます。
- 自分の動画をダウンロードできる人
- 自分にコメントできる人
- 自分とデュエットできる人
- 自分とコラボできる人
- 自分にメッセージを送ることのできる人
これらを一部のユーザーだけに承認するか、完全にオフにするかを決められます。
まだ子供が幼いのであれば、全てオフにしておいた方が安全でしょう。
ペアレンタルコントロールを設定する
「デジタルウェルビーイング」内にある「ペアレンタルコントロール」を設定することで、TikTokの利用時間や未成年に不適切な動画は表示されないなど、制限をかけることができます。
これらの機能は4桁のパスワードをかけることもできるので、子供が勝手にいじってしまうことを危惧する必要はありません。
なお、この設定を使うには、親もTikTokアカウントを作成して連携する必要があります。
ネットの危険性を学ぶ
以上のように設定上制限できるものもありますが、プライベートアカウントはパスワード設定がないので子供でも変えることができてしまいますし、ペアレンタルコントロールもパスワードを知られてしまったら変更できてしまいます。
このようなことを防ぐためにも一番大切なのは、情報モラル・ネットリテラシーを学ぶことです。
特に小中学生はこれらを十分に学べていないことがあります。
何が・どのように危険だからこのような設定をする必要があるのかをきちんと説明し、ネットを軽視しないように理解してもらうことが重要です。
また、子供に教えると同時に、自分自身のSNSの使い方も見直すようにしましょう。
まとめ
現在、TikTokの運営側でも安全性の確保のために様々な処置を行っています。
しかし、絶対安心とも、絶対危険とも言えない状況です。
ただ、子供がTikTokをやりたいと言っているにもかかわらずやらせない、というのは親の目が届かないところで使用するようになるなど、一番危険な方向につながってしまいます。
「やらせない」と決めるのではなく、親が管理できる状態で利用させることが大切です。
ネット社会で生きていくためには、ネットリテラシーなどの知識は必然的に必要になってきます。
犯罪に巻き込まれないため、また、犯罪を引き起こさないようにするためにも、SNSの利用には気を付けていきましょう。