不正アクセス禁止法とは?不正アクセス対策と事例をわかりやすく解説
知らない人にパソコン操作やSNS・LINE乗っ取り( アカウント乗っ取り)をされたりすることがありますが、このような…[続きを読む]
匿名でネット炎上が起こった際などに、驚くべき精度をもって本人を特定する「特定班(特定厨)」と呼ばれる人たちがいます。
特定班は、発信者情報開示などの法的手続を使わずにさまざまな情報から、本人を特定します。
ただし、入手した情報の使い方によっては、特定班自身が違法行為の「責任を問われる可能性」もあります。
今回はネットの特定班(特定厨)とは何か、特定班の行為の法的問題点やネットで本人特定されないための対処方法をご説明します。
目次
ネットが普及したことにより現れた、最近話題の「特定班(特定厨)」の意味は一体何でしょうか?
これはネット炎上が起こった際などにありとあらゆる手段を駆使して、炎上した個人の個人情報を特定する人々のことです。
ただ「特定班」とはいっても特別な組織があるわけではなく、SNSやネット利用に長けたユーザーが細かい確かな情報を集めて特定するケースが多数です。
たとえば、特定班が活動するケースと背景として、下記のような事態が実際にありました。
特定班はどうやって、相手を特定するのでしょう?特定のやり方が気になる人も多いでしょう。
特定班は法律のプロではないので、仮処分や訴訟などの法的方法によって本人を特定するわけではありません。
多くの場合、SNS(Facebook、Twitter)のつながりや投稿内容、画像、動画の内容や端っこの方に写っているもの、人物、関係するアカウントの情報や過去の書き込み内容などをたどって特定します。
炎上すると本人は該当する投稿や過去の投稿内容をどんどん削除していくものですが、特定班はそれより先にスクショなどによって証拠保全しながら特定を進めていきます。
たとえば、僅かな手がかりから、下記のように検証しすすめていくケースがあります。
また、プロの探偵ではありませんが、「ネット探偵」として現地調査に赴いて、住所を特定しようとする例もあります。
Twitterのフォロアーにダイレクトメールを送って、対象人物の個人情報を聞き出そうとしたりもします。
このようにして炎上した人の個人情報が瞬く間に特定され「特定祭り」となり、ときにはネット上に晒されたりして本人が大きな影響を受けます。
ネットで炎上したとき、必要もないのに、特定班が粘着質に絡みついて本人を特定することに違法性はないのでしょうか?
実はネット上に落ちている情報や現地調査などによって本人を特定するだけであれば違法性はありません。
しかし以下のような場合は違法で、特定班自体に損害賠償責任が発生したり犯罪が成立したりする可能性があります。
本人特定の際に本人やその他の人のIDやパスワードを使って勝手にSNSなどにログインしたら、不正アクセス禁止法違反になります。
本人を特定するために不正なアプリを作成し、本人やその他の人のパソコンやスマホに仕込んだ場合にはウイルス作成罪や提供罪が成立する可能性があります。
現地調査に赴いたとき、より詳細な情報を知りたいと思って「本人宅」や「敷地内」などに侵入したら住居侵入罪となります。
情報収集だけでは基本的に違法ではありませんが、発見した「個人情報を公開」するとプライバシー権の侵害となります。
たとえば「炎上した本人の名前は〇〇、住所は××、メールアドレスやSNSアカウントはこちら、父親や母親、兄弟の個人情報、職業、住所、連絡先」などと言葉や画像で晒した場合などです。
本人の顔がわかるような形で画像や動画をネット上に投稿した場合、肖像権侵害となります。
炎上した本人をネット上に晒すときに名誉毀損的あるいは侮辱的な引用文をつけて投稿すると、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。
特定班による行為が違法行為と評価される場合、度が過ぎると先述したような罪で結果的に逮捕される可能性があります。
ただし名誉毀損罪、侮辱罪は親告罪なので、被害者が刑事告訴しない限り逮捕される可能性はありません。
またプライバシー権侵害や肖像権侵害には処罰規定が設けられていないので、違法行為ではあっても逮捕はされません。
以下のように、特定班の行為が違法となる場合、情報を晒された本人から「損害賠償請求」を受ける可能性があります。
上記のような違法行為はすべて損害賠償請求の対象です。
特に名誉毀損やプライバシー権侵害、肖像権侵害などの行為があると慰謝料請求されやすいでしょう。
ネットで炎上や誹謗中傷の被害に遭うと、特定班に個人情報を特定される可能性があります。
その場合、どう対応すれば良いのでしょうか?
特定されただけで情報が晒される前であれば、情報を公開しないように特定班らにクギをさす方法があります。
たとえば、無断で公開したらプライバシー権侵害や名誉毀損になる可能性が高いことにアカウント上で触れて特定祭りにならないように牽制します。
また情報を破棄するよう求めましょう。
既に晒されてしまった場合、すぐに情報の公開を取りやめるよう、公開しているサイトの担当者、Twitterアカウントに要求すべきです。
無断で情報が晒されたら、特定班に対して「損害賠償請求」はできる可能性があります。
特定班のSNSのアカウントがわかっている場合は、メールやメッセージ機能などを使って民事裁判・慰謝料請求の通知を行います。
特定班が悪質で名誉毀損的な投稿や個人攻撃を続ける場合には名誉毀損罪などで刑事告訴して処罰を求めましょう。
特定班がみんな悪者、というわけではありませんが、中には「自らが正義」と勘違いして風評被害や炎上の当事者の情報を晒して快感を得ている人がいます。
いったん情報が晒されたら、差し止めや損害賠償請求をしても完全な被害回復はできません。大切なのは「ネット利用の際に特定されないようにすること」です。
そのため、以下のような予防法をお勧めします。
ネット上に個人的なことを一切書かなければ特定班でも特定は困難です。
SNS、ツィッター、インスタ、FaceBook、個人ブログ、などきめ細かく経歴を書くと、「なりすまし」などの二次被害にも発展するおそれがあります。
写真を載せるとどうしても端に移っている細かな情報などから特定されるリスクが高まるので、旅行先の写真などでも載せない方が安心です。
「近くで雪が降った」「家の近くに、きれいな川がある」「勤務先が一部上場企業」「実家や職業が電気屋」など、個人特定につながる情報は一切公開しない方が安心です。
SNSをリンクさせるとそこからどんどん情報が漏れるので控えましょう。
プロフィールを書く場所、会社のHPや学校のHPのプロフィールにFacebookやTwitterなどをリンクすると個人情報が筒抜けになる恐れがあります。
リアルの友人知人や家族などと公開のSNSで会話していると誰が見ているかわかりません。
自分が情報を開示しなくても、リアル友人などの投稿内容から個人特定につながるので危険です。
炎上したり誹謗中傷被害を受けたりしても、特定さえされなければ被害は小さく済ませられるものです。
今回ご紹介した対策方法を参考に特定班対策をしっかり進めていきましょう。