ストーカー規制法とは?法改正の歴史をわかりやすく解説
ストーカー規制法が成立したのは2000年。現時点でまだ17年ほどしか経っていません。今回は「ストーカー規制法」につい…[続きを読む]
SNSで知り合った相手からストーカー被害を受ける事件が絶えません。
SNSでネットストーカー被害に遭った場合、ストーカー規制法によって規制することはできるのでしょうか?
ストーカー規制法が適用されない場合には、どのように対処すれば良いのかも知っておきたいところです。
今回は、ネットストーカー被害の定義・特徴・事例とその対処方法、 相談窓口を解説します。
ネットストーカー被害とは、インターネット上でLINEやfacebook、twitterなどのSNSやメール、メッセージなどによってストーカー被害を受けることです。
たとえば、普段利用しているSNSにおいて、執拗に「つきあってほしい」という内容のメールが来たり、交際を断ったら脅迫をされたり監視しているかのような書き込みがなされたり、誹謗中傷するような内容の書き込みなどが行われることがあります。
SNSストーカーの内容・手段はさまざまです。たとえば、下記のような特徴や事例があります。
具体的には、下記のような文言で、脅迫されることすらあります。
このようなことをネット上で書かれると、被害者としては大変恐ろしいです。
SNSストーカーに狙われてしまうと、ひとり暮らしの女性、OL、女子大学生、女子フリーターなどの場合には、生きた心地がしなくなることもあります。
精神的にも多大な負担がかかりますし、身の危険も感じます。
ネットストーカー被害に遭った場合、ストーカー規制法で規制してもらうことは出来ないのでしょうか?
現在は「ストーカー規制法」が適用される場合、警察から加害者に警告を出してもらってストーカー行為を辞めさせることができます。
もし加害者が従わなかった場合には、警察に加害者を「逮捕」してもらうことも可能です。
特に「SNSなどでネットストーカー行為」は、従来のストーカー規制法の適用が難しいケースが多かったのですが、平成28年12月6日に「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の一部を改正する法律案が衆議院本会議で全会一致で可決され、成立し、平成29年1月3日施行されました。
同法案が改正されるのは2000年の成立以来2回目です。
これによりSNS等でのつきまといも取り締まりがしやすくなりました。
旧来のストーカー規制法で規制されていたのは、以下のような内容です。
ところが、以前のケースですと、SNSによるネットストーカー行為は上記のどれにも直接該当なかったのです。
上記のうち、しつこいメール送信(ストーカー規制法第2条1項5号)に該当するのではないかとも思えるのですが、メール送信はあくまで「個別の電子メール送信のみを対象」としているのであって、FacebookやTwitter、LINEなどのいわゆるSNSの場合にはその対象となりませんでした。
法改正により、今回規制対象に追加されたのは、拒まれているのにSNS(Twitter,LINE等)でメッセージを連続送信したり、ブログに執拗な書き込みをしたりする行為となります。
被害者が告訴をためらっていても起訴できるよう「非親告罪に変更」したほか、ストーカー行為をする恐れがある人物と知りながら、被害者の住所や氏名などの情報を提供することを禁止することも明記しました。
また、比較的軽かった量刑も「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げられ罰則が強化されました。
危険が差し迫っている場合、事前の警告がなくても公安委員会が加害者に禁止命令を出せるようにするなど、禁止命令の仕組みも見直した。その部分は平成29年6月14日に施行されました。
この改正ストーカー事件のきっかけとなったのが、アイドルとして音楽活動をしていた冨田真由さんの事件でした。
ファンの男の執拗なTwitter書き込みが行われた挙句、刃物で刺され一時重体となる事件でした。
SNSで一日何件も書き込みが行なわれ、警視庁に命の危険を感じて「何度も相談」したにもかかわらず、危険性がないと判断され事件が起きたことが問題視されました。
旧来のストーカー規制法では事件をふせげなかったことから、SNSなどの電気通信をつかったしつこい連絡を対象と拡大したのです。
ストーカー規制法が改正されたのを踏まえて、実際にネットストーカー被害に遭っている場合、法律に基づき、どのように対処していくべきか、また相談窓口などについて解説いたします。
ネットストーカーは、こちらが1人で誰にも相談していないとわかると加害者はどんどん図に乗って、さらに行動がエスカレートする可能性があります。
そこで、ストーカー被害に遭ったら早めに適切な場所に相談に行く必要があります。
この場合、相談先はまず「警察」です。
ただ、警察に行っても事件性がないと言われたり、ストーカー規制法の適用ができないとして、動いてくれない可能性もいまだにあります。
警察は、事件が起きたら動いてくれますが、事件が起きる前では、消極的なケースがすくなくありません。
警察が対応しない場合、「弁護士」に無料相談に行って対応を考えてもらいましょう。
なお、弁護士の中には、インターネットトラブルに強い弁護士とそうでない弁護士がいますので、ネットストーカー被害を相談する場合には、インターネットトラブルに強い弁護士を探して依頼する必要があります。
ネットトラブルが得意かどうかは、ホームページ上にインターネット関係の記載が多いかどうかや、弁護士の本の執筆履歴、取り扱い分野の紹介欄にインターネットトラブルが上がっているかどうかなどを見ると分かる可能性あります。
ネットストーカーに強い弁護士が見つかったら、直接法律事務所に電話やメールで連絡を入れれば法律相談の予約します。
このようにして、早めに弁護士に無料相談することがネットストーカー被害を最小限に抑えることにつながります。
弁護士なら事件が起きる前から様々な角度で法律を駆使して対抗できます。また、警察の動かし方を心得ているのが弁護士相談の良さです。
ネットストーカー被害の状況を電話で説明するのはかなり難しいので、面会の予約を入れて、直接あって相談することをお勧めします。
弁護士に無料相談した場合、ストーカー規制法の適用ができないなら何ができるのかという問題があります。
この場合には、接近禁止の仮処分を申し立ててもらうことが考えられます。
接近禁止の仮処分とは、放置すると身体などに急迫の危険性がある場合に、相手に対して申立人に「接近してはいけない」ということを裁判所から命令してもらうための処分です。
接近禁止の仮処分が行われたにもかかわらず、相手がつきまとい行為を辞めない場合には、脅迫罪などの他の犯罪適用がしやすくなります。
ネットストーカーによって名誉が害された場合には、相手を名誉毀損で訴える場合もあります。
警察に被害届を出して名誉毀損罪(刑法230条)で逮捕してもらうよう促すこともできますし、民事で損害賠償請求(民法709条)などをすることも可能です。
ネットストーカー行為を受けたことによって弁護士を依頼すると、弁護士費用がどのくらいかかるのかも知っておきたいところです。
ネットストーカー行為に対する弁護士費用は、各弁護士事務所によってさまざまですが、弁護士費用の相場を下記にまとめました。
またこれに加えて、成功報酬も発生します。
なお、犯人が誰か分からずかつ警察が逮捕しない場合などには、犯人を特定するための費用がかかる場合もあります。
しかし、命の危険には変えられません。自分の身は自分で守る、また、実際に被害者の保護のために動いてくれるのはネットに強い弁護士がいることも忘れてはいけません。
今回は、SNSなどでネットストーカー被害に遭った場合の対処方法について解説しました。ストーカー規制法が適用されなくても他に対処方法はあります。
まずはネットストーカーに強い弁護士に相談するところから始めましょう。