イニシャル、伏せ字での書き込みは、どこから名誉毀損になるの?

イニシャル

現代社会では、個人でも法人でもインターネットを日々利用しています。

特にツイッター等のSNSや爆サイ・2ちゃんねる・爆サイ等の匿名掲示板に「名誉毀損的な書き込み」をされたり「プライバシー侵害をされたりするケース」があります。

このとき、書き込みをした相手の表記を実名ではなく「イニシャルや伏せ字」を使った場合にも、同じように名誉毀損が成立してしまうのでしょうか?

今回は、相手の名前をあだ名やイニシャル・ハンドルネームなどにした書き込みが、どこからどこまでが許されるのかについて解説します。

*なお匿名によるネット誹謗中傷全般の問題については、下記記事などを併せてご参照ください。

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イニシャル、伏せ字、匿名によって名誉毀損が起こるケース

イニシャル・伏せ字の悪口が問題ないと考えがち

イニシャルや伏せ字を使って名前を出さずに悪口をする行為が行われた場合、それを「名誉毀損」行為と判断しても良いのでしょうか。

たとえば、5ちゃんねる・爆サイなどの匿名掲示板に下記のように書き込まれたとします。

「富〇〇株式会社の営業サポート3課の課長とYMは不倫している。」

この場合、役職名は出ていますが、職場名は伏せ字を使っており、個人名も出ていません。

不倫相手についても、イニシャルしか出ておらず、実名による記載はなされていません。

実際、このような書き込みをする人は「相手をはっきり特定していないから問題はない」と考えていることが多いです。

ただし上記のようなケースであっても、知っている人が見ればすぐに誰のことを言っているのかがわかることが多いです。

にも関わらず、名誉毀損が成立せず、相手に対してどのような責任も問えないとなると、あまりに不都合があります。

その場合、どこまでの記載なら許されて、どこからが許されなくなるのか、その判断基準を知っておくことが重要です。

名誉毀損・侮辱罪は、相手方が特定できるかどうかがポイント

匿名によるネットの誹謗中傷においては、下記の3つの不法行為が問題になります。

  • 名誉毀損
  • 侮辱罪
  • プライバシー侵害

「名誉毀損」は、人の社会的評価を低下させる事実の摘示をした場合に成立する犯罪行為であり、不法行為です。

「侮辱罪」は、事実の摘示をせずに相手をおとしめる言動をとった場合に成立する犯罪です。

「プライバシー侵害」は、相手の私生活などをみだりに公開した場合に成立する不法行為です。

これらの共通項として、それらの成立のために「相手方が特定できる」ことが必要です。

このことは、相手が「お店」や「会社」の場合などでも同じです。店の悪口が書かれていても、具体的にどこの会社や店のことを言っているのかわからないなら、業務が妨害されることはないからです。

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責任が発生する場合としない場合についての具体例

投稿相手について、匿名で相手のイニシャルや伏せ字を使って投稿した場合、具体的にどのようなケースにおいて名誉毀損などの責任が発生し、どのようなケースでは発生しないのかについて、例をあげて見てみましょう。

どこから名誉毀損が成立するか

まず、相手方が特定されていると判断されて、名誉毀損などが成立するケースをご紹介します。

たとえば、先の例で

「富〇〇株式会社のシステム営業サポート3課の課長とYMは不倫している。」

という投稿を見てみましょう。

たとえば仮に「富〇〇株式会社」が世界的な大企業であるとします。

その場合、会社名が***会社の***課の***さんのことではないか?と推測が働きます。

そして、その営業3課の課長というと、人物がかなり限定されてしまいますし、相手方のY.Mという人についても、その人が職場関係の人なら、周囲の人は誰のことを言っているのか容易に推測できてしまいます。

つまり、このような書き込みのケースでは、イニシャルだとしても、名誉毀損やプライバシー権侵害が成立してしまう可能性が高いです。

名誉毀損・誹謗中傷にならないケース

次に、特定が不十分で名誉毀損などが成立しないケースをご紹介します。

たとえば、

「〇〇株式会社のY.Mさんは、Aさんと不倫している」

とだけ書き込まれた場合、具体的な部署名の記載もなく、会社の特定はほとんど不可能です。

よって、Y.Mさんという人物についても特定は難しくなりますし、不倫相手のAさんという人についてもまったく情報がないので、やはり特定できるとは言えません。

よって、このケースでは、名誉毀損やプライバシー権侵害は成立しないのです

ネットのハンドルネーム・源氏名を利用したケース

「作家としてのペンネーム」「ネット上のアカウント名」「ハンドルネーム」などを利用したケースを見てみましょう。

この場合、そのペンネームなどが広く知られており、それを見ただけで対象者が誰のことがはっきりわかる場合には、対象者が特定できていると言えるので、名誉毀損などが成立する可能性が高いです。

また「水商売の源氏名」を使った名誉毀損の場合も多いです。

この場合、源氏名と書き込みの内容を対照すると容易に本人を特定できることもあり、そのような場合にはやはり名誉毀損が成立します。

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反対に、ほとんど誰も知らない個人的なアカウント名を使って誹謗中傷しただけのケースでは、対象者の特定がなされていないとして、名誉毀損などは成立しない可能性が高いです。

どこから店の商品やサービスについて業務妨害が成立するか

次に、店の商品やサービスについての書き込みの例を見てみましょう。

たとえば下記のように書き込んだ場合、どこの商店街のことを言っているのかは容易に推測できます。(※実際にそういったラーメン屋は実在しません)

「もともとバイトしていた者です。東京の砂町銀〇商店街にある赤い看板のラーメン屋は、冷めたラーメンを提供してくる上に激マズ。衛生状態も最悪」

その商店街内に赤い看板のラーメン屋が数店舗しかない場合、どこのラーメン屋のことを指しているのかも特定できる可能性が高いです。

よって、このような書き込みをした場合には、対象の特定がなされているものとして、業務妨害罪や損害賠償などの責任が発生する可能性が高いです。

会社に対して業務妨害・誹謗中傷にならないケース

会社に対する業務妨害罪が問題になる、別の例を見てみましょう。たとえば下記のような書き込みのケースです。

「東京都の丸の内にある〇〇株式会社はブラック会社だ」

この場合、東京の丸の内にある株式会社はかなりたくさんあるので、この書き込みだけを見て対象会社を特定することは極めて困難です。

よって、この場合には、対象の特定がなされているとは言えず、業務妨害や不法行為が成立することはありません。

名誉毀損やプライバシー侵害があったら何が請求できる?

もし投稿者によりイニシャルトークや伏せ字トークによって相手の本当の名前なしで誹謗中傷の書き込みが行われた場合、相手に対してどのような対応ができるのでしょうか。

損害賠償請求

不当な書き込みを受けた被害者は、投稿者に対して名誉毀損やプライバシー権侵害にもとづいて「損害賠償請求(慰謝料請求)」をすることができます。

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発信者情報開示請求・犯人特定

なお、投稿者がどこの誰かわからないケースでは、プロバイダ責任制限法にもとづいて「発信者情報開示請求」をして、犯人を特定後、損害賠償請求を行います。

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刑事告訴・逮捕

また、相手に対して名誉毀損罪にもとづいて、刑事告訴をすることも可能です。

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刑事告訴をした場合、その主張内容に理由があるということになると、警察が投稿者を逮捕してくれることがあります。

お店・会社に対する誹謗中傷の場合

自分が店を経営している場合などに、誹謗中傷の影響による売上げ分の低下について、具体的に支払い請求をする場合があります。

ただ、この場合、売上げが低下したことや、売上げの低下が記事の投稿と因果関係があることなどを立証する必要がありますが、それらの立証ができたら、認められた範囲で投稿者に対して「損害賠償金の支払い命令」が下されます。

また、個人が名誉毀損を受けた場合と同様、店が業務妨害をされた場合でも、投稿者に対して偽計業務妨害罪を理由として刑事告訴をすることができます。

まとめ

今回は、ネット上でイニシャルトークや伏せ字トークが行われて、対象者をはっきりとは特定しなかったケースでも名誉毀損やプライバシー権侵害などの責任が発生するのかについて解説しました。

相手の実名を出さずにイニシャルやニックネームなどを使って投稿したケースでも、その記事内容からして対象者を特定できる場合には、名誉毀損やプライバシー権侵害などの法的責任が発生します。

店や会社の不当な評価をすることによって業務を妨害した場合には、業務妨害罪も成立します。

実名を使わずに投稿が行われたケースで名誉毀損などが成立するかどうかの判断はケースバイケースです。

自分で判断ができないことが多いので、ネット問題に強い弁護士に相談すると良いでしょう。

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