誹謗中傷の意味とは?基準や問題点をわかりやすく解説!
近年注目されている「誹謗中傷」。しかし、誹謗中傷はどういう意味なのか、どこからが誹謗中傷になるのか、批判との違いは何…[続きを読む]
有名人・コロナ感染者・医療従事者…最近では五輪選手に向けてもネット上で誹謗中傷の書き込みが行われています。
今まで幾度となく取り上げられてきたこの社会問題ですが、いまだに誹謗中傷をする人は絶えません。
しかし、誹謗中傷は被害者にとって想像以上に辛いことであり、少しずつでも減らしていくことが必要です。
そこで今回は、誹謗中傷をなくす・減らすためにどうすればいいのか、私たちにできることは何なのかを考えていきたいと思います。
「誹謗中傷」とは、相手の悪口を言って罵ったり、根拠のない事を言いふらすことで他人を傷つけたりすることをいいます。
ちなみに、「誹謗中傷」は法律用語ではありません。
ただ、場合によって「名誉棄損罪」「侮辱罪」「業務妨害罪」「脅迫罪」などの犯罪になる可能性もあります。
また、明確な基準がないため判断が難しいことや、規制における表現の自由との兼ね合いなどが問題点としてあげられています。
近年ではインターネットが発達し、特にSNSや匿名掲示板を介したネット上の誹謗中傷が深刻化しています。
このような誹謗中傷行為は、なぜ起きてしまうのでしょうか。
結論としては、以下のように様々な理由があげられます。
人によっては無意識に行っていることもあり、知らないうちに自分も誹謗中傷に加担していた、というケースもあります。
さらに、誹謗中傷のような過激な投稿をしているのは、実はごく一部の人であるという調査結果もあります。
その人達の投稿数が多いが故に、ネガティブな意見が世間全体の意見であるように見えてしまい、被害者を追いつめているということがあるようです。
誹謗中傷による事件はあらゆる国で起きており、世界中で問題視されています。
そのため、国によっては法令などを整備して誹謗中傷対策を行っているところもあります。
ここからは、日本と他国における対策例を簡単に見てみましょう。
韓国の有名なタレントや歌手が、誹謗中傷で相次いで自殺したという事件を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
そのような事件を受けて、韓国では”ソルリ法案”と呼ばれる法案が発議されました。
ソルリ法案では、全ての書き込みにおいて、投稿者のIDやIPアドレスを最初から公開することが定められています。
これによって投稿者の特定をしやすくし、悪質な書き込みを抑制することを狙っています。
SNS上のヘイトスピーチやフェイクニュースが急増したドイツでは、2017年に「ソーシャルネットワークにおける法執行を改善するための法律(SNS対策法)」が施行されました。
この法律では、事業者に刑法に該当するような違法な投稿の削除などを義務づけています。
適切に従わなかった場合には、最大5000万ユーロ(約60億円)の過料が科されます。
2020年、フランスではテロや児童性的虐待と関連するようなネット上の有害コンテンツを通報から1時間以内に削除することを求める法律が可決されました。
この法律を守れなかった企業には、最大で世界売上高の4%の罰金が科されることになります。
ただ、企業の規模にかかわらずこの法律は適用されるため、大企業でないと対応が間に合わない、表現の自由を制限するという批判の声も大きくあがっています。
日本では、木村花さんの事件などをきっかけに、2020年にプロバイダ責任制限法の一部改正が行われました。
これにより、相手の情報の開示請求を行う際に電話番号も入手できるようになり、より迅速に被害者の救済ができるようになりました。
また、2021年でも見直しが行われています。
手続きの簡略化やログイン型サービスへの対応などを取り入れることで、投稿者をより特定しやすく、迅速な手続きができるようにと試行錯誤されています。
このように、法的に対策を講じることも誹謗中傷を減らすために大切なことです。
とはいえ、まだ十分な制度が整っていない部分も多くあります。
今後も議論を重ねていくことが必要といえるでしょう。
それでは、誹謗中傷を少しでも減らしていくために、私たちが個人でできることはなんでしょうか。
まずは、ネットリテラシーを学ぶ・知ることです。
今まで何度も耳にしているとは思いますが、ネット上の書き込みはときに人を自殺にまで追い込んでしまう可能性があります。
軽い気持ちで投稿したものが誰かを傷つける場合があること、遊びでも人を攻撃するような投稿をしてはいけないことなどを、常に頭に入れておきましょう。
同時に、匿名であっても特定される可能性があることや、誹謗中傷の書き込みで訴訟になった事例があることなどを知ることも大切です。
この知識があることで、自分自身が誹謗中傷の投稿をしないようにする枷になりますし、加害者に忠告して誹謗中傷を止めさせることもできるかもしれません。
次に、投稿を見直すことです。
特にSNSは、情報を見たあとに感情の赴くままに投稿をしてしまいがちです。
しかし、その場合、過激な言葉や不適切な表現を無意識に使ってしまっている可能性もあります。
そのため、一度書き込みを投稿する前に見直しをする癖をつけましょう。
上記のような点を確認してみてください。
ただ、いちいち投稿を確認するのも面倒だし、どこからが批判でどこからが誹謗中傷となるのかよくわからない、という方もいらっしゃいますよね。
そのときには、SNSアカウントの設定や機能を使って工夫をしましょう。
例えば鍵垢を使った場合、自分がもし誹謗中傷の投稿をしてしまったとしても、自分をフォローしている人以外は見ることができないため、投稿が被害者にまで届かずに済むかもしれません。
また、自分が苦手だと感じる人・意見があわない人などがいたら、ブロックやミュートを使って諍いが起きる前に見えなくしてしまうという方法もあります。
インターネット上ではネガティブな意見は多く投稿されますが、巻き込まれ被害などを恐れて擁護側の意見はなかなか投稿されない傾向があります。
その結果、批判的なコメントばかり目についてしまいがちなのですが、そんな中で被害者を応援するようなメッセージがあると、被害者も「自分一人じゃないんだ」と心の支えになるものです。
実際、誹謗中傷を受けた人の中には、「コメントやDMで『あなたのことを応援しています』といったメッセージで救われた」という人がいます。
誹謗中傷をする側と争う必要まではありませんが、DMなどでこっそり励ましのメッセージを送るだけでもしてみてください。
また、誹謗中傷が深刻であったり、しつこく繰り返しているようなアカウントがあれば、通報や違反報告をすることで誹謗中傷被害を減らす第一歩になります。
以上、ネット上の誹謗中傷について解説してきました。
近年ではツイートで学校の情報を知ったりお知らせを流したりと、SNSは日常生活に欠かせないツールになっています。
そのため、誹謗中傷が嫌なら見なければいい・使わなければいいという単純な話では済みません。
そもそも、加害者が悪いのであって、被害者が不利益を被るべきではありませんよね。
誹謗中傷を完全に失くすことは難しいかもしれません。
しかし、一人一人の意識によって減らすことができる可能性はあります。
投稿には気を遣う・被害者がいたら少しでも支援するなど、自分にできることから取り組んで誹謗中傷を減らしていきましょう。