削除の仮処分とは|インターネット上の名誉毀損記事を削除する
ネット上で名誉毀損、誹謗中傷の書き込みをされたら「仮処分」によって削除させることができます。裁判所を使った手続きで難…[続きを読む]
「受験情報サイト - インターエデュ・ドットコム」というサイトをご存知でしょうか?
ここでは幼稚園から大学、学習塾に至るまでの「受験情報」を中心に多くの方が情報交換をしています。
しかしインターエデュ・ドットコムでも学校や塾などに対する誹謗中傷の投稿が行われるケースがみられるので、教育関係者の方は注意が必要です。
今回はインターエデュ・ドットコムで誹謗中傷の風評被害を受けた場合の対処方法をご説明します。
目次
そもそもインターエデュ・ドットコムとは何なのか、そんなサイトのことをあまり知らないという方のために説明をします。
インターエデュ・ドットコムは主に受験情報を集めるためのサイトです。全国の幼稚園、小中学校、高校、大学、学習塾などについての掲示板があり、その中の「スレッド」にて活発な意見交換が行われています。
掲示板の種類は以下の通りです。
投稿者は、在校生や在塾生、卒業生や保護者などが主です。これから受験しようか考えている方やどこの塾に行こうか迷っている方がそういった情報を見て、今後の進路を検討する材料にしています。
インターエデュ・ドットコムでは、外からはなかなか知ることのできないリアルな情報を得られるので、利用者にとって大きなメリットがあります。
ただ、中には学校や塾などに対する誹謗中傷が行われることもあります。たとえば学校の勉強についていけなくなった人や受験に落ちた人、卒業したものの就職できず思ったようにいかなかった人など現状に不満を持つ人が鬱憤晴らしに学校の悪口を書くケースなども多いのです。
インターエデュ・ドットコムに投稿される誹謗中傷の例としては、以下のようなものがあります。
もしもインターエデュ・ドットコムで誹謗中傷被害を受けたら、学校や塾にどのような影響が及ぶのでしょうか?
大きな影響として、その学校や塾への入学希望者が一気に減ることが考えられます。インターエデュ・ドットコムは学校や塾選びのサイトなので、そこで悪い風評が広がったらあえてその学校や塾へ行こうとは考えないためです。
私立学校や塾の場合、経営悪化につながるおそれも軽視できません。
塾の悪口を書かれたら、現在塾に通っている生徒にも悪影響が及びます。「そんなに評判の悪い塾とは知らなかった」と驚き、早急に別の塾や予備校に移ってしまう可能性が高くなります。
多くの生徒が一気に退塾してしまったら、経営状況が一気に悪化するでしょう。
学校や塾についての悪口を投稿されると、保護者が不安に感じて学校や塾側に問合せをしてくる可能性もあります。「子どもにセクハラとはどういうことか」「体罰が行われているのか」「裏口入学やいじめ隠蔽とは本当のことか」など、さまざまな追及をされて対応に追われます。
在校生や在塾生がネットで自分達の学校や塾について悪口を書かれていることを知ったら、学習意欲が低下してしまうおそれがあります。学校に来なくなったり学校が荒れてしまったりする可能性も懸念されます。
先生が「不倫している」と書かれたり個人情報を晒されたりすると、先生がうつ病などの精神病にかかって仕事を続けられなくなったり退職してしまったりするリスクもあります。
このように、インターエデュ・ドットコムで誹謗中傷されたときの影響は非常に大きいので、不適切情報は早急に削除させる必要があります。
インターエデュ・ドットコムで謂われない誹謗中傷の投稿をされたときに削除させるには、自分で対応する方法と弁護士に依頼する方法があるので、分けてご説明します。
自分でインターエデュ・ドットコムから投稿を消してもらうには「掲示板削除申請」から行います。
以下のような投稿が削除の対象になります。
誹謗中傷や個人や団体への攻撃的な書き込み、個人情報の公開なども削除対象となっているので、該当する場合には申請しましょう。
上記のページのフォームに必要事項を記入して送信すれば、管理人が規約違反かどうかを判断し、違反があると判断されれば削除されます。
削除申請をするときには、具体的にどういった内容によってどういった権利が侵害されているのか、どの規約違反になるのかを指摘することが大切です。
インターエデュ・ドットコムに自分で削除依頼を出しても対応してもらえないケースはあります。そのような場合には、弁護士に依頼して削除の申請を行いましょう。
弁護士は「仮処分」という方法を使って強制的に口コミを削除させることができます。仮
処分は、裁判所から相手に記事削除などの命令を出してもらうための手続きです。インターエデュ・ドットコムで権利侵害を受けており、早急に削除しないと権利が守られないおそれがあると立証すれば、裁判所はインターエデュ・ドットコム運営会社に削除命令を出してくれます。
弁護士に任せたら2~3週間程度で仮処分命令が出るケースが多数です。
インターエデュ・ドットコムで誹謗中傷被害を受けたとき、不当な投稿をした犯人を特定して責任を追及すべきです。記事を削除しただけでは、犯人に何のペナルティもなく、また同じような嫌がらせが行われる可能性が高いからです。
ただ、口コミ投稿は匿名で行われるので、特定するのに複雑な手続きが必要となります。以下で特定方法をご説明します。
まずはインターエデュ・ドットコムから犯人の「IPアドレス」を入手する必要があります。通常ネット投稿は匿名で行われているので、まずはサイトが把握しているIPアドレスから入手するのです。サイト側が任意に開示しない場合には仮処分を行って強制開示させます。
IPアドレスが判明したら、そこから相手の利用しているプロバイダを割り出します。
プロバイダに情報開示請求を行う前に、情報が消されてしまわないように「ログ保全の仮処分」を行います。
プロバイダに対して犯人の情報開示請求を行います。この手続きを「発信者情報開示請求」と言います。
プロバイダが任意に開示しない場合には、訴訟によって強制開示させます。訴訟で勝訴すると、プロバイダが犯人の氏名や住所、メールアドレスや電話番号などを通知してきます。
以上のようにして犯人の情報を得られたら、内容証明郵便を使って慰謝料や売上げ低下分の損害賠償を求めたり、名誉毀損や業務妨害罪で刑事告訴したりする対応を進めましょう。
犯人を特定するためには、記事を削除させる以上に専門的な対応を要求されるので、早めに弁護士に依頼することをお勧めします。
インターエデュ・ドットコムで誹謗中傷の被害を受けたとき、放置しておくと学校にも塾にも先生にも大きな悪影響が及びます。「たかがネットの情報」と軽く考えていると重大な損害が発生して取り返しがつかなくなります。早めに弁護士に相談して、適切な対応方法を相談しましょう。