送信防止措置依頼書の書き方【入門編】
プロバイダ責任制限法では、被害者に「送信防止措置請求権」「発信者情報開示請求権」を認めています。誹謗中傷の該当記事を…[続きを読む]
「みんなの学校情報」という口コミサイトをご存知でしょうか。
学校関係者の方であれば、知っている方も多いかもしれません。
このサイトでは、あらゆる学校の情報が掲載されています。
そのため、ここで誹謗中傷を受けると学校の評判が低下して大きな被害を受けてしまう可能性があります。
今回は、みんなの学校情報で悪質な口コミを投稿されたときの削除方法と犯人を特定する方法を解説していきます。
「みんなの学校情報」とは、「学校選びで失敗したくない人のための学校情報サイト」をコンセプトとした学校情報ポータルサイトのことです。
と6つの区分に分かれて口コミ情報が掲載されており、高等教育学校領域(高校・大学・専門)では利用者数No.1を獲得しています。
また、各学校の全般的な評判・入試情報・進学実績・雰囲気などの情報を見ることができ、ランキングや偏差値も参考にしつつ希望の学校を探せるシステムとなっています。
さらに、在学生や卒業生が投稿した口コミ数は50万件以上もあり、その学校についてリアルな声を聞くことができます。
みんなの学校情報を運営しているのは、「株式会社イトクロ」です。
同社は他にも、「家庭教師比較ネット」「医学部受験マニュアル」「医学部予備校マニュアル」などの教育系のサイトを運用しています。
「みんなの学校情報」では有益な情報も多い反面、学校に対する誹謗中傷や名誉毀損、教師などへの事実に反する個人攻撃の口コミがしばしば見られます。
例えば、以下のような口コミがあげられます。
上記のような、嘘による誹謗中傷や個人情報漏洩の口コミが投稿されると、様々な被害が発生します。
どのような被害が起きるのか、簡単に見てみましょう。
直接的な影響として、学校の評判が低下して入学希望者が減るという問題があります。
特に私立の学校の場合には、生徒が減ることによって経営が苦しくなる可能性があります。
現在の在校生や保護者から「書き込みは本当なのか」「学校説明会と言っていることが違う」といったクレームが来る可能性があります。
また、悪い噂によって生徒や保護者が学校に対して不信感をもち、先生の言うことを聞かなくなる・学校活動に協力しなくなる・転校されるといった被害を受けることもあります。
みんなの学校情報で個人情報が晒されると、学校関係者や見知らぬ他人から揶揄されたり嫌がらせを受けたりする可能性があります。
場合によっては悪質ないじめに繋がる恐れもあり、被害が拡大して自殺などの深刻な問題に発展することも考えられます。
以上のように、みんなの学校情報の口コミによっては学校も教師も多大な迷惑を被ることがわかります。
悪質な口コミが投稿された際には、早急に対応することが必要だといえるでしょう。
ここからは、みんなの学校情報の口コミを削除する方法をご紹介していきます。
まず、口コミの削除依頼をする前にみんなの学校情報の利用規約を確認します。
このサイトでは、以下のような投稿を禁止しています。
削除するにおいては、上記に当てはまる利用規約違反に基づいて申請することが必要です。
どの項目に該当するのか、事前にチェックしておきましょう。
確認が終わったら、口コミ削除に入ります。
これについては、①自分で削除依頼をする方法と②弁護士に依頼する方法の2通りがあります。
自分で削除申請をする場合には、サイトの一番下にある「お問い合わせ」をクリックします。
出てきた画面で「権利者向け問い合わせ窓口」を選択し、必要事項を記入していきます。
記載すべき内容は、以下の通りです。
特に「権利侵害の投稿が行われたURL」をはっきり提示し、それによってどのような権利が侵害されたと言えるのか、理由の説明が重要です。
「不愉快」「こんな書き込みは不当だ」などと感情をメインに書くのではなく、「○○というところが××という違反に当たるため削除してほしい」と客観的にわかりやすく伝えるようにしましょう。
この申請により権利侵害が起こっていると判断されれば、運営が口コミを削除してくれます。
また、これに似た方法として「送信防止措置請求」をするという手もありますが、削除申請の効力としては上記の方法とあまり変わらないでしょう。
自分でお問い合わせフォームを使って通報したとしても、サイト側が削除に応じないケースもあります。
その場合には、弁護士に依頼して法的に対処してもらうといいでしょう。
任意での削除に応じてもらえないとなると、裁判所に削除の仮処分を申し立て、法的拘束力をもつ仮処分命令を出してもらう必要があります。
ただ、削除命令を出してもらうためには、権利侵害を受けている「証拠」が必要です。
URLを保存するだけではなく、スクリーンショットや紙へのプリントアウトなどによって証拠を残しておくようにしましょう。
みんなの学校情報で誹謗中傷の被害に遭ったとき、口コミを削除させただけでは解決にならないケースがあります。
投稿者が嫌がらせやおもしろ半分で投稿をしている場合、また同じ投稿を行い誹謗中傷や個人攻撃を行う可能性があるからです。
再発を防ぐには違法な投稿をした相手を特定し、損害賠償(慰謝料)請求などのペナルティを与えるのが効果的でしょう。
匿名の投稿者を特定するには、プロバイダ責任制限法4条1項により「発信者情報開示請求」を行います。
基本的に二段階の開示請求(仮処分と訴訟)を経ると、匿名相手の氏名や住所が判明し、特定することができます。
発信者情報開示請求は複雑な手続きを必要とすることが多いので、弁護士などの専門家に依頼することをお勧めします。
また、投稿のログ保存期間などによって相手を特定するまでに制限時間があるケースもあるので、特定したいと思ったら早めに行動に移すことが大切です。
犯人が特定できた後は、民事訴訟などで慰謝料の支払いや「二度と誹謗中傷しない」旨の誓約等を請求することができます。
場合によっては刑事告訴も行うなど、ケースに応じたさまざまな対応をとることが可能です。
ここまで、「みんなの学校情報」の口コミを削除する方法をご紹介してきました。
学校は、世間の評判によって大きな影響を受ける機関です。
特にユーザー数の多い「みんなの学校情報」における誹謗中傷問題は、放置していると後々大きな問題が起きる可能性もあります。
気になる口コミを見つけたら、サイト側に通報して削除してもらいましょう。
もし対応してもらえなかったら、弁護士に相談して削除や犯人特定などの対処を進めてみてはいかがでしょうか。