送信防止措置依頼書の書き方【入門編】
プロバイダ責任制限法では、被害者に「送信防止措置請求権」「発信者情報開示請求権」を認めています。誹謗中傷の該当記事を…[続きを読む]
女性のみのコミュニティサイトである「ママスタ」では、匿名掲示板で日々の悩みの相談やTVの話題などあらゆる投稿をすることができます。
しかし、その匿名性故に、有名人のアンチトピックといった誹謗中傷事例も多々発生しています。
SNSのアカウントを晒した誹謗中傷トピックもあり、被害者の中で「何とかして消してもらいたい…」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、ママスタでの誹謗中傷を削除・解決するための方法をご紹介します!
ママスタとは「ママスタジアム」という女性(ママ)向けコミュニティサイトのことです。
ママスタでは、女性だけの匿名コミュニティであるBBS(電子掲示板)で、カテゴリー別に他の女性と交流することができます。
また、有名人が子育てや家族について語るインタビュー記事や、病院・学校の口コミ情報の掲載、貯めたママスタポイントを使ったプレゼントの応募など、様々なサービスが揃っています。
子育てや家事のことなど、全国のママの知識が詰まったとても便利なサイトですが、その一方で日々のストレスを発散するための誹謗中傷の温床になってしまっている面もあるのです。
ママスタでの誹謗中傷事例で一番多いのが、芸能人・有名人やSNS(InstagramやTwitter)で人気のある人への誹謗中傷です。
ママスタBBSでのトピックには「芸能人・有名人」というカテゴリーもありますが、このトピック一覧を見ると、アンチ専用の投稿が多いことが一目でわかります。
書き込み内容も激しい悪口が多く、多いものだと200万を超えるアンチコメントが寄せられているトピックもあります。
また、2020年3月には、ママスタで元AKB48の川崎希さんを誹謗中傷する投稿をした女性2人が書類送検されるという事例も実際に発生しています。
ネット上で誹謗中傷の書き込みをすることについて、「皆やっているから自分も大丈夫だろう」「匿名だからバレない」と思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、これらは大きな間違いです。
先述した川崎希さんの事例のように、法的に処罰をうける可能性は十分にあります。
では、ネット上での誹謗中傷はどんな法的問題があるのでしょうか。
上記のような書き込みを行い、「公然と」「事実を摘示」することによって「他人の社会的評価を低下させた」場合は名誉毀損罪が成立する可能性があります。
ここでいう「事実」とは、嘘か真実かは関係ありません。
名誉毀損罪が成立した場合、3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金が科せられます(刑法230条1項)。
上記のように、事実を摘示しなくても「公然と」「人を侮辱」した場合は侮辱罪が成立する可能性があります。
侮辱罪が成立した場合は拘留又は科料が科せられます(刑法231条)。
このように、ネット上の誹謗中傷は刑事罰にも規定されているような犯罪行為なのです。
先述したように、ネット上の誹謗中傷は犯罪行為に該当しうるため、被害を受けた場合は訴えることが可能な場合があります。
しかし、ネット上の誹謗中傷は拡散も早く、迅速に解決しなければ瞬く間に被害が拡大してしまいます。
そのため、まずは該当する書き込みを削除してもらえるように要請しましょう。
ママスタにある投稿やトピックを削除するには、以下の2つの方法があります。
ここからはこの2つの方法による削除の仕方をご紹介します。
ママスタの運営に直接通報することで削除するには以下の手順を踏みます。
投稿されたトピックやコメントを削除してもらうには、利用規約違反として通報することが基本になります。
まずはママスタの利用規約や禁止事項を確認しましょう。
ママスタでは、
など28項目に及ぶ書き込みの禁止事項を設定しています。
まずは、削除したいトピックやコメントに該当するものがあるかを確認しましょう。
【参考】ママスタBBSにおける禁止事項
該当する投稿が禁止事項にあたることを確認したら、「通報/削除依頼」をクリックします。
トピックごと削除したい場合はトピック名の右側にある文字を、特定のコメントや画像を削除したい場合は、まず該当する投稿のNo.をクリックし、詳細ページに入ってから該当する投稿の右側にでる「通報/削除依頼」をクリックしてください。
クリックすると、名前とご依頼理由を入力する画面が出てきます。
名前は本名でもニックネームでも何でも構いません。
依頼理由には「~~の部分が禁止事項の〇〇にあたるため削除をお願いいたします」と、なるべく丁寧で詳細な説明を書くよう心がけましょう。
しかし、この削除依頼を出したからといって必ずしも削除してもらえるとは限りません。
というのも、削除の判断はママスタの運営側にあり、任意で行われるものだからです。
また、基本的には削除はしない方針であるとも明言しており、削除してもらえる可能性が高いとは言えません。
もし、この削除依頼で削除されなかった場合は、法的に削除してもらうこと必要があります。
法的に誹謗中傷の書き込みを削除をするには、ママスタに直接「送信防止措置請求に基づく自主的削除」の依頼をする方法と、裁判所にを通して「削除の仮処分命令」を出してもらう方法があります。
法的な削除のひとつとして、プロバイダ責任制限法3条1項に基づいて送信防止措置をママスタの運営に請求することができます。
「送信防止措置」とは、不特定多数人に投稿が見れないように対処してもらうこと、つまり投稿の削除のことを示します。
基本的には、運営会社に送信防止措置請求の書面を送付することで行うことができます。
しかし、法律に基づく方法といっても、こちらも削除の判断は運営側に委ねられるため、必ずしも削除されるとは限らないので注意してください。
今までの手段でも削除されなかった場合や、削除請求に法的拘束力を持たせたいときは裁判所に仮処分命令を出してもらうことが必要です。
訴訟をして正式な命令を出してもらうことも可能ですが、訴訟には時間やコストがかかるため、短期間で出してもらえる仮処分命令を請求することをお勧めします。
ママスタにある誹謗中傷の投稿を削除してもらっても、それで誹謗中傷がやむわけではありません。
また同じ人が誹謗中傷の書き込みをすることがあり得るからです。
同じ状況が繰り返さないようにするには、相手を特定して忠告や損害賠償を請求することが一番効果的です。
また、先述したような罪状で刑事告訴を行うためにも、相手の特定が必要になります。
そこで、匿名相手を特定するのに行うのが、プロバイダ責任制限法4条1項に基づく「発信者情報開示請求」です。
匿名相手を特定するためには、相手の氏名や住所といった個人情報を入手することが必要です。
しかし、ママスタだけに直接この請求を行ったとしてもそこまで詳しい個人情報は管理していない場合が多いです。
そのため、まずはママスタからIPアドレスやタイムスタンプといった初歩的な情報を開示してもらい、そこからわかるプロバイダ(携帯会社など)にさらに開示請求を行うことで特定を行います。
これについても、直接会社に請求して任意でママスタとプロバイダの両方から開示してもらう方法と、裁判所から命令してもらう方法の2種類があります。
詳しくは以下のページで解説していますので、ご参照ください。
以上がママスタの誹謗中傷投稿を削除・解決する方法です。
ママスタでは有名人などに向けた誹謗中傷も多く起きていますが、最近では新型コロナウイルスに関連した誹謗中傷コメントも増えてきています。
被害に遭われた方は、ぜひ上記の方法を試してみてください。
また、匿名相手の特定を行うなど、法的手続きを必要とする場合は早めに弁護士に相談することをおすすめします。