プライバシーの侵害と肖像権!他人にSNSで勝手に個人画像を載せられた
SNSに写真を無断で公開され、写っている人たちに迷惑を与える行為は「フォトハラ」とも呼ばれ、社会問題にもなっています…[続きを読む]
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Facebookは今や誰もが利用するSNSの1つです。日本だけでなく、海外とのコミュケーションツールとしても使える現代に不可欠なサービスかもしれません。
もともと、人とコミュニケーションをとるということは、その中でトラブルが生まれやすいもの。SNSの投稿について「不快に感じた」、「嫌な気分になった」という人も実は多いのではないでしょうか。
「不快」程度なら、致し方ない部分もあるかもしれません。しかし、批判や嫌がらせ、誹謗中傷、プライバシー侵害につながることもあります。
今回は、「Facebookで誹謗中傷やプライバシー侵害に遭ってしまった…。」そんなとき、どう対処すれば良いかを法的解決も含めて解説したいと思います。
皆さん、既にご存知の方が多いと思いますが、念のためにFacebookを少しだけ解説しておきましょう。
Facebookとは、実名登録を基本とするソーシャルネットワーキングサービスのことです。学校や会社の知り合いなどと「友達」になることにより、そこから新たに交際関係が広がっていきます。
現在では、ビジネルツールとしても利用されていますよ。Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグは今やビリオネアで、彼のサクセスストーリーが描かれた映画や本などもたくさんあります。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
Facebookはアメリカ発祥ですが今や世界中で使われるコミニュケーションツールです(ユーザー数 17億1,000万人(2016年6月30日時点))。もっとも、人との交流があるため、トラブルもつきものです。メッセージを送り合う中で誹謗中傷が繰り広げられることがあります。
日本では、2,700万人の月間アクティブユーザー数があるとも言われています。
「Facebookから他のSNSへ利用を変えた」、「SNS疲れ」、「過度なリア充アピール」、「中高年のためのSNS」という声も一部聞こえるようになりましたが、その勢いはまだまだ衰えておりません。
Facebookの基本理念は、ホームページに大きく掲載されています。長い文章ですが、1ページにまとめられています。気になる方は、サイトのホームページで内容を確認してみてください。
誹謗中傷に関する基本理念を抜粋すると以下のような内容です。
引用元:Facebook Principles(https://www.Facebook.com/principles.php)
基本理念は素晴らしいですよね。人種・宗教・国籍・職業・身分などに関係なく必要な情報・好きな相手といつでもつながることができる、そんなサービスを目指しているようです。
Facebookの素晴らしい理念を紹介したところですが、残念なことにトラブルも存在しています。以下、誹謗中傷の例などをみていきましょう。
では、Facebookによる誹謗中傷の実態はどんな例があるのでしょうか。
まず、誰かの投稿やコメントを批判することが挙げられます。
軽い批判程度なら、それぞれ意見を持っているので問題ありません。しかし、1つの意見に固執し、強い批判になることがあります。そしてそこから、過剰なネット批判につながり、誹謗中傷へと発展します。加害者自身、軽い気持ちで批判を始めた場合もあるでしょう。しかしそれがエスカレートし、相手の名誉や自尊心を傷つけてしまうところまで追い込んでしまうことがあるんです。対面ではないつながりが多いため、批判が過激化する傾向もあります。
次に、個人のプライバシー侵害の画像や、不快に思う画像の投稿もあります。
ネットで公開して欲しくないような、プライベートな画像を流したり、ひどいときには画像を加工して誹謗中傷するような内容に仕上げて投稿するケースもあります。本家のアメリカでは、誹謗中傷や画像投稿によるネットいじめも問題になりました。
このほかにも、個人になりすまし名誉を傷つけたり、個人情報を勝手にあげてしまったり、差別的言動を繰り返すなどもケースがあります。これらが原因でFacebookを退会したり、他のSNSも全て止めてしまったりする人もいるのです。
このように、軽い批判が誹謗中傷にエスカレートしてしまうこともあります。また、何気ない画像の投稿や、「タグ付け行為」が、友達を傷つける言動となります。
ネット上での批判は相手に対する敬意をもって行うのが理想です。さらに、画像の公開や友達のタグ付けには、周りへの影響を想定して慎重に行うべきます。
では、誹謗中傷を受けたらどう対処すれば良いのでしょうか。
誹謗中傷を受けた場合は、Facebookに報告や削除要請をすることで対処することができます。実際に削除されるかどうかはFacebook側の判断に任されていますが、公開されたガイドラインがあるため、これに反するものであれば削除されるはずです。
Facebookは、不適切コンテンツの可能性がある場合は、「Facebookコミュニティガイドライン」によって、対応をどうするか見極めています。Facebookが公開している削除対象で誹謗中傷に関連するものとしては、以下があげられます。
引用元:Facebookコミュニティガイドライン
(https://www.Facebook.com/notes/グロービス/コミュニティガイドライン/163523777030327/)
プライバシー侵害画像は、友達にいって画像を削除してもらう、あるいは、自分がタグ付けされた写真を削除する、等の対応をとればよいでしょう。対応してくれない場合は、Facebookに通報するのがよいでしょう。
誹謗中傷は、「公序良俗に反する行為」、「誹謗中傷」にあたるので、削除される可能性が高いといえます。もっとも、実際の投稿内容から判断するため、誹謗中傷にあたるか微妙と判断された場合は、表現の自由を守るため削除されない可能性もあります。削除される可能性の高いものは、個人を特定して中傷する投稿、個人を侮辱するような画像、いじめ目的の言動・写真、嫌がらせ目的の投稿、何度もメッセージを送るようなストーキングに近い行為などです。
仮に、削除されなかった場合や削除を受けても個人情報が公開され、脅迫行為などで危険を感じた場合は被害届を警察に提出しましょう。一般の刑事課だけでなく、サイバー犯罪対策課が対応をしてくれるはずです。
では、実際に削除申請を行う場合、どのような手順で申請すれば良いのでしょうか。
Facebookには、各投稿に報告ボタンが設置されています。そこから誹謗中傷の報告を行うことにより、削除の申請を行うことができます。実際の作業はすごく簡単です。誹謗中傷の投稿の右上をクリックし、「投稿を報告」ボタンを押すだけです。その後は流れに沿って、「不快・Facebookに載せるべきではない・スパム」から「Facebookに載せるべきではない」を選んでクリックします。また、そこから投稿の問題点として、「不適切なコンテンツ・差別発言…」などがあるので、理由を選択してください。全ての選択がおわると、「審査対象としてFacebookに送信」をクリックして、申請完了です。
このほかにも、画像のタグ付けについても、同様に投稿の右上クリックで「プライバシー侵害を報告」を選択してフローに従えば、報告することができます。申請の結果は、追ってサポートからサポート受信箱に連絡がきます。1週間程度たっても連絡がこない場合は、もう1度申請を行いましょう。
このように、申請方法はごく簡単です。Facebook上の誹謗中傷に悩んでいる場合は、一度サポートセンターに報告する形をとりましょう。それでも削除されなかった場合や、それで被害を回復できない場合は法的手段をとる必要があります。
では、Facebook上で誹謗中傷をした場合法的に罪に問われることはあるのでしょうか。
まず、名誉毀損罪の成立が考えられます。
刑法230条は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」は、「3年以下の懲役若しくは禁錮、又は50万円以下の罰金」が課されることを規定しています。ネット上など不特定多数が見聞きできる場所で、人の具体的事実を取り上げ、人の社会的評価を低下させるような行為をした場合には罪に問われる可能性があります。例えば、嫌がらせで本人になりすまし、電話番号などの個人情報を投稿し、わいせつな文章を投稿したケースなどが挙げられます。また、これ以外にも「Aは頭が悪い」など抽象的に、ネット上で人を侮辱した場合には、侮辱罪(同法231条)が成立する可能性もあります。
次に、誹謗中傷が、殺害予告など深刻な場合は脅迫罪にあたる可能性があります。刑法222条は「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える目的で告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」と規定しています。脅迫罪が成立するためには、自分や親族に対する害悪の告知が必要となります。例えば、「殺す」「殴る」などの暴力の告知や、「家を壊す」など財産への危害も脅迫にあたります。注意すべきは、恋人への加害告知です。恋人は親族ではありませんので、脅迫罪の対象にあたりません。
このように、Facebook上であっても、誹謗中傷をした場合には刑事罰に問われる可能性があります。軽い気持ちで人を侮辱したり、誹謗中傷することは大変危険な行為といえるでしょう。
では、民事上の請求で加害者を追及することはできるのでしょうか。
まず、加害者を特定することからはじめます。Facebook上では実名投稿が基本のため加害者が誰かはすぐに判断しやすいケースが多いと思います。しかし、悪質な嫌がらせで、「なりすまし」「乗っ取り」などの場合は、加害者を判断できないため、裁判所にIPアドレスの開示請求をすることになります。これによって、加害者が明らかになった場合は、次に損害賠償をすることを考えます。また、Facebookによって削除が行われなかった場合は、これと同時に、削除請求の仮処分(民事保全法23条2項)を申し立てることも可能です。
次に、名誉毀損にあたるような投稿であった場合は損害賠償を請求(民法709、710条)することができます。これ以外にも、名誉毀損行為の差し止め請求や投稿により精神的に被害を受けたとして慰謝料を請求することも可能です。
このように、刑事捜査にまで発展しなかった場合でも、民事責任を追及することは可能です。傷ついた心や名誉を回復するのは簡単ではありませんが、金銭的賠償によって少しは楽になるかもしれません。誹謗中傷に悩まれている方は、一度検討してみてください。
仮に、刑事告訴や民事裁判になった場合、1人で解決することは難しいです。残念ですが、法的解決が必要なケースになってしまった場合は、専門家に依頼することをおすすめします。では、どんな専門家に相談すれば良いのでしょうか。
ズバリ、ネットの誹謗中傷に強い弁護士に相談してください。弁護士ではなくとも、ネット問題を解決をうたう業者はたくさんあります。しかし、法的交渉が伴う削除代行は非弁行為にあたり、違法という判決が裁判所から出ております。というのも、インターネット上の誹謗中傷投稿や記事の削除を有料で請け負うことは、弁護士しかできません。法律で定められているためです(弁護士法72条)。したがって、違法な業者に依頼しないように気をつけてください。
弁護士には、豊富な解決事例と抱負な経験が求められる時代となりました。急いで依頼した弁護士がネットトラブル解決のエキスパートとはいえないケースもあります。ネットトラブルには、特殊な問題があるため、これに対応できるネット問題に強い弁護士事務所に相談しましょう。専門家に依頼することが問題解決への第一歩となるはずです。