法人に対する名誉毀損は成立する?企業批判は犯罪か
5ちゃんねる(旧2ch.net)や2ちゃんねる(2ch.sc)で、法人、会社が誹謗中傷を受けることがあります。個人と…[続きを読む]
2chは誰もが知っている老舗の巨大ネット掲示板ですが、誹謗中傷被害が非常に起こりやすくなっています。
現在、2chには「5ちゃんねる(5ch.net)」(旧2ch.net)と「2ちゃんねる(2ch.sc)」の2種類があり、特に2ch.scでは削除申請方法に注意が必要です。
今回は、2ch.scで誹謗中傷などの権利侵害を受けた場合に投稿を削除させる方法について、解説します。
目次
2ch.scは、2つある「2ちゃんねる掲示板」の1つです。
2ch.scは基本5ちゃんねるのミラーサイト(コピーサイト)なので、5ちゃんねると同じ投稿内容が反映されています。しかし別途の投稿も可能なので、5ちゃんねるとは異なる書き込みもあります。
2ch.scにおいても、法人や店舗に対する悪口、業務妨害、また悪質な個人攻撃、誹謗中傷やプライバシー権侵害なども日常茶飯事です。
2ch.scを利用する人は多いので、被害を受けたら早急に削除をしないと、間違った情報が拡散され被害が大きくなります。
2ch.scで誹謗中傷被害を受けた場合、いくつかの削除方法があります。
まずは被害者が自分で問題の投稿を削除させる方法があります。2ch.scの場合には「削除依頼スレッド」を使って管理人に削除依頼する必要があります。削除依頼スレッド以外の個別のメールなどによる削除依頼は受け付けられていません。
削除依頼スレッドには2種類があり、通常の削除依頼スレッドと重要削除対象の専用スレッドに分かれています。
通常の削除依頼スレッド
http://macaron.2ch.sc/saku/index2.html
重要削除対象の専用スレッド
http://macaron.2ch.sc/saku2/index2.html
重要削除対象となるのは、主に下記のケースです。
それ以外のケースでは通常の削除依頼スレッドを利用します。
また、2ch.scによると、削除依頼スレッドで応じてもらえるのは以下のような場合です。
以下のようなケースでは、削除依頼スレッドを使っても削除に応じてもらえないでしょう。
問題になりやすいのは「法人は原則放置」という点です。2ch.scでは法人ももちろん誹謗中傷や業務妨害の被害を受けますが、2ch.scのスタンスとして「法人は原則放置」なので、自社で削除依頼スレッドを立てても基本的に対応してもらえません。
ただし2ch.scに強い弁護士に依頼した場合は、削除できる可能性があります。
削除依頼スレッドを利用すると、その内容が「公開」されることに注意が必要です。炎上している本人が「このような誹謗中傷を受けています」などと公衆の目に触れるスレッドを立てることになるので、それが原因でよけいに火がついて情報が拡散される危険が高まります。
いったん削除依頼スレッドを利用すると、その内容の削除を求めるのは困難ですので、利用の際には慎重になるべきです。
削除依頼スレッドを利用した場合、削除が行われるかどうか、また削除されたことについても申立人に連絡はされません。
削除されたかどうか確認したければ依頼後数日してから該当のスレッドを確かめて、自分の目で削除されたかどうかを確認する必要があります。
2ch.scのサイトには「2週間以内に削除されない場合には管理人に連絡してください」と書かれているので、基本的に2週間以内には対応するスタンスであることが読み取れます。
2ch.scでは削除方法がもうけられていますが、実際のところ、誹謗中傷やプライバシー権侵害にもとづく削除はあまり認められていません。
削除依頼が認められる多くのケースは、次に紹介する「仮処分」が認められたときです。仮処分の命令書を2ch.scの管理人に提出すると、比較的速やかに削除が行われる流れとなっています。
2ちゃんねるには、「5ch.net」と「2ch.sc」の2つがありますが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?
2ch.scの場合、先ほど説明したように自分で削除依頼するには「削除依頼スレッド」を利用するしかありません。また任意の削除依頼にはほとんど答えてもらいにくいのが現状です。削除依頼スレッドは公開されるので、依頼内容がさらなる炎上を呼ぶリスクも高くなっておりお勧めしにくいです。
これに対し5ch.netの場合には、管理人に対して個別に「メール」で削除依頼ができます。メールなので2ch.scの削除依頼スレッドのように公開されませんし、管理人が問題ありと感じたら削除に応じてくれる可能性があります。また、「5ちゃんねるが認めた弁護士」に依頼することで、迅速に削除が進みます。
ただし、個人で削除依頼する場合、5ちゃんねるでも必ず削除に応じてもらえるものではありませんし、最終的に有効な手法が仮処分や弁護士依頼が必要であることは2ch.scと同じです。
2ch.scの削除依頼スレッドを利用しても、必ずしも削除に対応してもらえるとは限りません。削除依頼の内容が公開されてさらに被害が広がる危険性もありますし、そもそも法人の場合には原則的に対応してもらえないので解決になりません。
この場合、弁護士に依頼して「仮処分」の手続きを利用するのがもっとも効果的です。
仮処分とは、訴訟を行っていると権利侵害を止められないので、訴訟で結論が出る前に「早急に権利保全をしてもらう方法」です。
仮処分が認められるためには「保全されるべき権利があるか」「権利侵害が起こっているか」という2つの要件を満たすことが必要です。
仮処分では、2ch.scの管理人の独自の見解によって削除されるかどうかが決まるのではなく、裁判所が公正に法律に基づいて削除するかを判断します。
2ch.scで効果的に誹謗中傷を削除させたい場合や被害者が法人の場合などでは、削除依頼スレッドを利用せず、初めから仮処分をするのが良いでしょう。
2ちゃんねるSCの管理人であるシンガポール法人「PACKET MONSTER INC.PTE.LTD.」を相手とする場合、現在のところ東京地裁では、「書面の外国語訳や、シンガポールへの送達は、完全に不要」とする運用を採用しているようであるから、申し立てから1週間程度で削除が可能です
なお、裁判所の決定を得て削除する場合にも「削除依頼スレ」を作成して削除する必要があります。削除の仮処分がでたURLとレス番号、削除依頼する理由は「削除仮処分決定」と記載します。最後に、削除仮処分決定をPDF形式で国内サーバーにアップして、そのリンクのURLを記載します。
この削除依頼方法を使うと、いずれにしろ削除依頼があったことはインターネット上で公表・公開されてしまう点で注意が必要です。アップロードするPDFは、住所部分は伏せてよいとされているから、黒塗りすることを忘れずに行いましょう。
2ch.scで誹謗中傷等の被害を受けたら、開示請求をして犯人を特定することが重要です。
犯人を特定して損害賠償請求や刑事告訴をしておかないと、また同じような投稿を繰り返されるかもしれないからです。
しかし自分で2ch.scの管理人に「このレスの投稿者の情報を教えてください」と言っても、ほとんと対応してもらえる可能性はありません。
そこでこの場合、2ch.scの管理人に発信者情報開示の仮処分の申請をして、犯人の「IPアドレス」を取得し、犯人が利用しているプロバイダを特定します。
その上でプロバイダに対し「発信者情報開示訴訟」を起こし、判決によって犯人の氏名、住所、メールアドレスなどの情報を開示させます。
これらの情報を入手したら、犯人に対して名誉毀損などの犯罪行為について刑事告訴を行ったり、プライバシー権侵害や著作権侵害などについての損害賠償請求を行ったりすることができます。
2ch.scで誹謗中傷被害を受けたとき、法人が被害者のケースでは基本的に自社で削除させるのは不可能です。
個人であっても削除依頼スレッドを利用すると公開と再炎上のリスクがありますし、結局は管理人の主観や裁量に委ねられ削除してもらえない可能性が高くなっています。最終的に仮処分による決定書をアップロードする方法でしか削除できないケースが多数です。
2ch.scで被害を受けたら、初めから弁護士に相談をして仮処分申請を依頼するのが最適な対処方法です。ネット誹謗中傷対策に積極的に取り組んでいる弁護士を探し、早めに相談をしてみてください。