ネットのプライバシー権とは?自己情報コントロール権との違いを解説
近年プライバシー権の重要性が高まり、その権利内容が拡大されてきています。そこで今回は、プライバシーの侵害になる基準や…[続きを読む]
ライブドアブログとは、LINE株式会社が運営する大手ブログサービスです。著名人から一般人まで様々なテーマでブログを公開しており、書き込み内容の自由度が高いのが特徴です。
規約が比較的緩く書き込み自由度が高いということは、ブロガーの表現の自由がより尊重されていると言えます。しかしその反面、誹謗中傷・風評被害などのトラブルが生じるおそれも否めません。
もしライブドアブログに個人情報や誹謗中傷を書き込まれてしまったら、どのように通報・対処すればよいのでしょうか?
ご自分で削除依頼を出す方法から、弁護士に依頼した場合の手続きの流れまでを解説します。
目次
ライブドアブログで、氏名・住所・顔写真・勤務先・電話番号・LINEアカウントID・メールアドレスなどの個人情報が、ブログやコメントで晒される被害があります。
また特定の会社・お店を、名指しして批判する記事がライブドアブログに投稿されることもあります。
このような場合、すぐに削除しないと取り返しのつかない被害が発生してしまうおそれがあります。インターネット上にひとたび個人情報が晒されると、瞬く間に広まってしまうからです。
これについて、ライブドアブログは『削除方針について』の『2.掲載内容が、権利侵害のおそれ、あるいは法律に抵触するおそれがあると判断されるものについて」の中で、下記のように明記しています。
被害の拡大を防止するため、速やかに送信防止措置を講ずる必要があります
ライブドアブログが公開している『利用規約』の『1.4 禁止行為 1.4.1 禁止事由』には下記内容が含まれており、誹謗中傷は禁止されていることが明記されていることが分かります。
ただ、明確な悪意をもった書き込みが行われることが多いのは確かですが、中には正当な理由に基づき“告発する“意図を持って書き込んでいる人がいることにも注意が必要でしょう。
書き込みをしている人は「悪いことをしている」などと思っておらず、むしろ、「自分は社会正義のためにブログを書いている」「自分は被害者だ」と強く信じている可能性があります。
このような場合、第三者であるライブドアブログには、どちらの主張が正しいのかすぐには判断できません。そのため、ライブドアブログは「削除について慎重な姿勢」を示しています(詳細は後述します)。
誹謗中傷・風評被害の法律トラブルでは、情報発信者側の表現の自由と、批判された側の権利・利益とのバランスを慎重に見ながら、最終的な判断がされることになります。
では、ライブドアブログに誹謗中傷や個人情報などを書き込まれてしまった場合には、具体的にどう対処すればいいのでしょうか?
まずはライブドアが公開している『利用規約』を確認しましょう。問題となる書き込みが、どの規約に違反しているのか確認し、適切に削除依頼を行うためです。
なお、あなたから見て『利用規約』に違反していると思われる場合でも、すぐに削除されないケースがあることに注意しましょう。
下記、ライブドアブログが公開している『削除方針について』では、ライブドアブログ側から見て権利侵害であると判断できないものについては、即削除するのではなく、以下の通り「慎重な対応をする」としています。
A.「サービス利用者」*に削除依頼が届いていることを通知し、1週間を目安とした期限を設けた上で、掲載に関して送信防止措置(掲載を削除あるいは非表示にすること、以下同様)を講ずることに同意するかお聞きします。
*1:掲載者、あるいは掲載をサービス利用者が行っていない場合でも利用者が管理可能なスペースに掲載されていれば、その利用者。以下同様とします
B.サービス利用者から期日までに「送信防止措置を講ずることに同意しない」旨の返信がなかった場合、弊社が送信防止措置を講じます。
C.サービス利用者から「送信防止措置を講ずることに同意しない」旨の返信があった場合、弊社にてlivedoor利用規約(以下、利用規約といいます)に抵触しているか否かを確認いたします。利用規約に抵触しているとは判断できない場合、弊社では権利侵害の確認が取れない状況で送信防止措置を講ずることができませんので、申告者にその旨を通知します。
問題のブログまたはコメントがどの利用規約に違反するのかわかったら、該当部分のスクリーンショットを取ってから、『お問い合わせ』ページを開いて通報してください。
まずは返信用のメールアドレスを入力した上で、「権利侵害の申立て」または「利用規約違反の報告」から、ご自分の状況に合っていると思われる方を選択します。
具体的には、
などの場合であれば、「権利侵害の申立て」に該当すると説明されています。
②で「権利侵害の申立て」を選択した場合、「送信防止措置依頼書」「本人確認書類」計2点のデータを、上記お問い合わせフォームに添付して送信します。
「送信防止措置依頼書」の雛形をダウンロードするのが難しい場合は、代わりに以下の項目をコピー&ペーストして代わりに送信しても大丈夫です。
上記を送信して削除依頼を行うと、まずはライブドアブログが「ブログ管理者に意見照会」を行います。
その意見照会にブログ管理者が同意した場合には、速やかに削除されますが、不同意の場合には、ライブドアブログ側で「利用規約に違反している」と明確に判断できない限り、削除されない可能性があります。
②で『利用規約違反の報告』を選択した場合は、『お問い合わせ項目』で「その他」を選択して通報ください。そして、下記内容を入力してから、最後にスクリーンショットを添付して送信します。
この場合においても、必ず削除してもらえるとは限らないことに注意が必要です。
前述の通り、ライブドアブログは利用者の「表現の自由を極力尊重」しようとするサービスです。
そのため削除基準も厳しく、削除依頼を行ったからと言って必ず対応してもらえるとは限りません。
そこで困った時は、なるべく早めに「IT・ネット界隈のトラブルに詳しい弁護士」に相談してください。
探し方は様々ですが、当サイトでもネット誹謗中傷に強い弁護士を紹介していますので、参考にして、まず無料相談を受けて判断しましょう。
依頼してから解決までにかかる期間はケースバイケースですが、3ヶ月~半年がおおよその目安です。
また、弁護士の探し方とメリットについては下記記事も詳しいので、併せてご参照ください。
弁護士に依頼後まず、ライブドアブログに対して「任意交渉・削除依頼」を行います。
個人で問い合わせを行う場合との違いは、“弁護士名義による威圧感”、そして“法的根拠をきちんと説明してくれること”。この2点は、弁護士ならではの強みだと言えるでしょう。
しかし、弁護士が交渉しても企業側が折れてくれないケースは、意外と少なくありません。その場合は、裁判所に「仮処分」という手続きを申立てることになります。
②のとおり弁護士の任意交渉でも誹謗中傷記事を削除してもらえない場合は、裁判よりもスピーディーな“仮処分”という手続きを裁判所に申立てて、強制的に削除させることになります(民事保全法第13条、第23条2項)。
ネットの誹謗中傷は、一刻も早く対処しないと回復困難な損害が生じるおそれがありますから、スピード感が命です。
「仮処分」とは、通常の裁判と違い、“とりあえず確からしい”という程度の根拠でも1~2ヶ月程度で削除命令を出せる手続きです。
相手が仮処分に従わない場合には「強制執行」もできるので、このようなトラブルには非常に有効だとされています。
ライブドアブログに誹謗中傷や個人情報を書き込まれたことで「損害が発生した場合」は、相手を特定して責任を追及することも考えられます。
損害賠償金請求や刑事責任(名誉毀損・威力業務妨害など)を問うための手続きは高度な専門知識を要するため、必ず弁護士に依頼されることをお勧めします。
依頼を受けた弁護士は、裁判所に発信者情報開示請求を行い、犯人を特定していきます。
ここで注目したいのが、2020年8月31日の改正によって発信者情報開示請求で電話番号も取得できるようになったことです。
サイト運営者に対する請求で電話番号が開示された場合は、その番号によって弁護士照会を行い発信者の情報を得ることができるため、プロバイダに対する訴訟を起こす必要がなくなります。
ただ、電話番号は保存期間の制限がない一方、サイト運営者が電話番号を保持しておらず、IPアドレスから特定が必要な場合は期限に注意する必要があります。
通信ログの保存期間は約3か月間とかなり短いため、IPアドレスは早めに突き止めることです。
このように、場合によって特定までにかなり手間がかかってしまうのが難点ですが、改正により少しずつ迅速に対応ができるようになっているため、最新の法制度を活用しながら解決を目指していきましょう。
ライブドアブログに掲載されてしまった情報は、ほんの短い時間でも多くの人の目に触れる可能性があります。
ご自分について不本意な情報が掲載されていることに気づいたら、一刻も早く専門の弁護士に相談しましょう。
インターネットのトラブルに精通している弁護士なら、すぐに適切な対応をとって被害を最小限に抑えるよう尽力してくれるはずです。ぜひ一度無料相談をしてみましょう。