ネットストーカーの特徴と心理。正しい対処法は?
インターネット上では人との距離感がつかみにくいため、「親しくなった」と勘違いして起こるネットストーカーが急増していま…[続きを読む]
近年人気が急上昇しているSNSといえば、「Instagram(インスタグラム)」ですよね。
“映える”写真を撮るために、キレイな風景やおしゃれなお店を探すという方も多いのではないでしょうか。
しかし、皆が使っているアプリ故にトラブルも徐々に増えています。
アカウントの乗っ取りをはじめ、「インスタなりすまし被害」が急増しているのです。
そこで今回は、インスタのなりすまし被害への対処法を解説します!
目次
まずは、インスタのなりすまし被害の実態について少し見てみましょう。
インスタでなりすまし被害が多いのは、芸能人やインフルエンサーなどの有名人アカウントや企業の公式アカウントです。
有名人アカウントになりすましてDMで金銭授受の取引を持ちかけたり、企業アカウントになりすまして違法サイトの登録や個人情報の入力を促したりするケースが多発しています。
一方、有名人だけでなく一般人も被害に遭うことがあります。
なりすましアカウントからフォロワーに卑猥なメッセージやわいせつな写真を送ったり、誹謗中傷を行ったりする人がいるのです。
投稿やプロフィール欄を丸パクリ真似していることも多く、見分けがつきにくいのが厄介なところです。
では、なぜ「なりすまし被害」が起きてしまうのでしょうか。
目的としては、「嫌がらせ」と「注目を集めたい」という2点が多いようです。
嫌がらせ目的の人は、先述したように本人のアカウントになりすまし、わいせつなメッセージや画像を投稿して、本人の名誉を貶めようとします。
若い人の間では、インスタいじめの一環として行われているケースもあります。
また、インスタグラムは画像を投稿して多くの人から「いいね」をもらったり、「フォロワー」が増えたりするのが楽しみとなっているSNSです。
そのため、人気のあるインフルエンサーや有名人になりすまし、注目を集めようとするケースもあるわけです。
また、次の記事のようなネットストーカーのパターンもあります。
ここからは、インスタのなりすましアカウントへの対処法をご紹介します。
まず、なりすましアカウントが自分のアカウントでないことを知らせて、家族や友人がなりすましにひっかからないようにすることが重要です。
反対に、家族や友人がなりすましをされているときは、その旨を伝えてあげましょう。
ただし、なりすましアカウントに直接DMなどで文句を言うことはおすすめできません。
逆に相手を煽り、なりすまし行為がエスカレートする可能性もありますので対応には注意しましょう。
次に、インスタグラム本社に報告・通報しましょう。
方法としては、以下の手順を参考にしてください。
モバイル(アプリ)の場合とPCからの場合で多少異なります。
【アプリの場合】
【PCの場合】
PCから報告する場合には被害内容によってURLが変わるため、なりすまし以外の被害でも報告をしたい場合は以下のURLから行ってください。
また、「送信防止措置依頼書」という書面を送付することで、アカウント及び投稿の削除ができる可能性もあります。これを送信防止措置請求といいます(プロバイダ責任制限法3条参照)。
ただし、通報する方法も送信防止措置請求も任意でお願いするものなので、必ずしも削除されるとは限らないことに注意してください。
もし、報告・通報ではアカウントや投稿の削除が行われなかった場合、裁判所に削除の仮処分命令を出してもらうという対処法もあります。
インスタグラムは海外法人が運営していますので、データを保有し、運営主体となっているFacebook, Inc.を相手方に申し立てることになります。
日本で仮処分を行うことはできますが、国内法人に比べて海外法人は複雑な手続きを要するので、法的対処をしたい場合は弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
「なりすましは見つけてないけれど、確認して予防したい」という方もいるかと思います。
有効な方法として、エゴサーチがあります。
これらは被害を未然に防ぐことはできませんが、拡散を防ぐという点では有効な予防方法です。
また、インスタには対応していませんが、2chや爆サイなどの匿名掲示板、Twitter等のSNSのエゴサーチをしたい場合は下記のネット誹謗中傷チェッカーをご参照ください。
インスタでのなりすまし行為は犯罪になるのでしょうか。
法的問題について、簡単に解説します。
まず、刑事責任として「偽計業務妨害罪(刑法233条)」や「名誉毀損罪(刑法230条)」になる可能性があります。
例えば、誰かが企業の公式アカウントになりすまして詐欺を行った際、本社に被害報告が上がって対応に追われることがあります。
このように、なりすまし被害によって業務を妨害されたような場合には、「偽計業務妨害罪」が成立する可能性があります。
偽計業務妨害罪が成立すると、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が科せられます。
また、嫌がらせ目的でわいせつな画像を投稿したり、誹謗中傷の投稿をしたりして社会的評価を落としたり、その危険を生じさせた場合は、「名誉毀損罪」が成立する可能性があります。
名誉毀損罪が成立すると、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が科せられます。
元交際相手などが撮影した性的な画像を公開した場合は、「リベンジポルノ禁止法」や「ストーカー規制法」により処罰される可能性があります。
また、SNSトラブルでよく取り上げられる「不正アクセス禁止法違反」ですが、別のアカウントを作ってなりすましている人には適用されません。
パスワードなどを知られて、本当のアカウントを乗っ取って行われているような場合には、適用される可能性があります。
インスタグラムのなりすまし被害の場合は、主に下記4つの権利が問題になりやすいです。
それぞれを侵害した場合、損害賠償請求(民法709条)が可能となります。
実際に裁判で認められた事例もあるため、犯人が誰なのかはっきりしてさえいれば損害賠償・慰謝料請求を行うことも1つの手でしょう。
損害賠償などの金額としては、10万円~数百万円と内容によってかなり異なります。
下記記事を併せてご参照ください。
法的に対処したい場合、まずは犯人が誰か特定しなければいけません。
そこで使うのが、「発信者情報開示請求」という制度です。
この制度に基づいて裁判所に申し立てを行うことで、インスタグラム本社から投稿者の個人情報を手に入れ、犯人を特定することができます。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
インスタグラムのなりすまし被害は、増加傾向にあります。
特に嫌がらせ目的のなりすまし被害では、プライバシー侵害や名誉毀損など、被害が深刻なケースも多いです。
もし被害を見つけたら、早めにインスタグラム本社に報告を行うようにしましょう。
また、インスタグラム本社は海外にあるため、法的な対処を求める際には海外との間で複雑な手続きを行う必要があります。
通報だけでは解決せず、どうすればいいか悩んでいるのであれば弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。