サイバー警察とは|通報したら動く?どこまで監視しているの?
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堂々と公開されているツイートやコメント、リツイート機能を使って悪口を言われているなら「名誉毀損」になる可能性がありますが、ダイレクトメッセージを使われると名誉毀損にならない可能性が高くなります。
そんなときでも相手を特定して慰謝料請求できるのでしょうか?
今回はツイッターのダイレクトメッセージで悪口をしつこく送ってくる相手に慰謝料請求できるのか、相手が不明なときに特定できるのか、法律的な問題を解説します。
目次
ツイッターには、相手に「ダイレクトメッセージ(DM)」を送れる機能があります。ダイレクトメッセージとは、特定の相手にのみ送信できる「メール」のような機能です。ダイレクトメッセージを送った場合、その内容は一般に公開されず相手にしか読まれません。
ツイッターでは手紙のマークが表示されますが、相手の画面を開いたときに手紙のマークをタップするとその相手に対するダイレクトメッセージを送れます。フォローしていない人からのダイレクトメッセージは受け取らない設定にもできますが、すべてのダイレクトメッセージを受け取る設定も可能です。またフォローしている人などからのダイレクトメッセージは基本的に届いてしまいます。
ダイレクトメッセージで「きもい」「消えろ」などとしつこく悪口を書かれ続けたり性的な嫌がらせを受け続けたり脅迫されたりすると、精神的に参ってしまうものです。ツイッターを開きたくなくなったり外に出るのが怖くなって日常生活に支障をきたしたりする人もあり、要注意です。
DMを使って「きもい」などの悪口を送られた場合、相手に犯罪が成立するのでしょうか?
一般的にツイッターで誹謗中傷されたら、投稿者には「名誉毀損罪」や「侮辱罪」が成立するケースが多数です。しかし名誉毀損罪や侮辱罪が成立するには「公然と」投稿が行われたことが必要です。すなわち「不特定多数の人に情報が伝わっていく状態」でないとこれらの犯罪は成立しません。
ところがダイレクトメッセージの場合、「受け取った本人」しか内容を見ないので「公然性」がなく、名誉毀損罪や侮辱罪は成立しません。
ただしメッセージの内容によっては「脅迫罪」や「ストーカー規制法違反」が成立する可能性があります。
たとえば「殺すぞ」「家を燃やすぞ」などの脅迫的な文言が含まれていたら脅迫罪となりますし、拒絶しているのにしつこく面会を迫られるなどつきまとう内容であればストーカー規制法違反となります。
「~しないと殺すぞ」など義務のないことを強要する場合であれば強要罪、「金を払わないと家族に危害を加える」などお金を脅し取ろうとする場合であれば恐喝罪が成立します。
ツイッターのDMでしつこく悪口を書かれたとき、慰謝料請求はできるのでしょうか?
内容や程度にもよりますが、嫌がらせのDMによって慰謝料が発生する可能性はあります。
脅迫罪やストーカー規制法違反などの犯罪が成立する場合には明らかな違法行為なので、慰謝料請求できます。
「きもい」「お前の顔を見ただけで吐き気がする」「消えろ」などの暴言を吐かれ続けただけ場合でも「人格権侵害」となって慰謝料請求できる可能性はあります。
ただ「DMで一度だけ『きもい』と書かれた程度」では、通常慰謝料は発生しないと考えてください。DMで人格権侵害と認められるには、こちらがブロックやDMの拒否設定をしてもアカウントを変えてしつこく嫌がらせをしてくるなど、異常なほどしつこいケースに限られるでしょう。
相手がDMの内容をスクショで撮影してツイッターや他のSNS、ブログや掲示板などにさらしたときには「プライバシー権侵害」や「名誉権侵害」となるので慰謝料請求可能となります。
ツイッターは匿名で利用している人が多いので、嫌がらせの相手がどこの誰か分からないケースもよくあります。
相手がツイートやコメント、リツイートなどの機能を使って堂々と名誉毀損している場合には「発信者情報開示請求」によって投稿者を特定できますが、DMによる嫌がらせの場合も同じように発信者情報開示請求できるのでしょうか?
実はDMの場合、発信者情報開示請求できない可能性が高くなっています。プロバイダ責任制限法による発信者情報開示請求が適用されるのは「不特定多数の人に対する通信を媒介している特定電気通信役務提供者」です。
メールやDMなどの個別的なメッセージの場合「不特定多数」に対するものではないので、発信者情報開示請求が適用される根拠がないのです。
よってDMのみで嫌がらせを受けていると、仮処分や訴訟を起こしても相手を特定できない可能性が高くなります
相手がダイレクトメッセージのスクショを晒して名誉毀損やプライバシー権侵害となる場合には、不特定多数に対する投稿となるので発信者情報開示請求が可能となります。
ツイッター社に対し訴訟などの法的手段をとれば、投稿者に関する情報を獲得できます。
スクショなどを晒されておらずDMのみで嫌がらせを受けている場合、被害者が個人的に相手の情報を獲得しようとしても発信者情報開示請求の手続きを利用できません。
ただし「犯罪」が成立する場合なら、警察に対応してもらえる可能性があります。
たとえばDMでしつこく「殺す」などと脅されていて本当に殺されるかもしれない恐怖を感じている場合、しつこく交際を迫られてストーカー被害を受けている場合などには、警察に相談すれば警察が捜査権限を使って相手を特定してくれるケースがあります。
相手が特定されれば警察が相手に厳重な注意を行ったり、逮捕につながったりする可能性があります。
ネット上のトラブルがリアルな殺人事件につながるケースも起こっているので、悪質な脅迫やストーカーの被害を受けているなら、早めに警察に相談しましょう。相手とのDMのスクショをとってプリントアウトするなどして警察の人に理解してもらいやすいように準備すると良いです。
こちらの都道府県のサイバー犯罪対策課に相談しましょう。
DMで嫌がらせをしていた相手を特定できれば、慰謝料請求が可能です。
相手の住所がわかったら内容証明郵便を利用して慰謝料の請求を行い、話し合って金額を決めて支払いを受けましょう。
ただしつこく嫌がらせをしてきた相手に対し、自分で連絡を入れたり話をしたりするのは怖い方も多いでしょうし、実際に身に危険が及ぶ可能性もあります。
相手に対する慰謝料請求は弁護士に任せる方が良いでしょう。弁護士が対応すれば相手が不誠実な場合には訴訟を起こして支払い命令を出してもらい、差し押さえをすることも可能です。
ツイッターのDMでの嫌がらせには一般への「投稿」による嫌がらせとは異なる対処が必要です。困ったときには法律の専門家である弁護士に相談してみてください。