肖像権侵害とは?事例とよくある質問から理解する肖像権の基本
ネット上に写真や動画を投稿するときには「肖像権」に配慮が必要です。今回は正確に理解されていないことも多い「肖像権」に…[続きを読む]
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「インスタの投稿にするほどでもないけど、今すぐみんなにシェアしたい!」
そんなときに、便利なのがインスタグラムのストーリー機能。思いついたらシェアしてるという方も多いのではないでしょうか?
楽しいフェスや女子会の模様、キレイな風景など動画や画像など、たくさん流したくなりますよね。
でもストーリーをシェアするとき、ふと「知らない人の顔が写り込んでるけど…」、「音楽をつけてもいいよね…?」と不安になることもあるはず。
ストーリーは24時間で消えるという特徴があることから安易に「大丈夫」と考えてしまいがちですが、多くの方が無断転載したり人の物を勝手に載せたりして著作権違反や肖像権の侵害を行っているのが実情です。
そこで、今回は、インスタのストーリーを使う上での注意点、法律違反行為、違反に引っかからないでシェアする方法、警告が来た場合の回避法・対処法についてお伝えします。
まずは、インスタのストーリーに関連してどのような法律が問題となりうるのかをご説明します。
ストーリーは基本機能として24時間で削除されるのが特徴です。1日で消えてしまうことから、内容を選ばずに思いつきでシェアすることができます。
一方、著作権とは、文学、音楽、美術などの創作者の権利を保護する法律であって、勝手に人の表現物を利用したり、複製などを行うことを禁止しています。
もし、著作権者の著作権を侵害するようなことがあれば、以下のような罰則が科されます
ただ、誰かに見つかった場合に即罰せられるわけではなく、原則として著作権者が侵害を訴え、処罰を希望した場合に、処罰される仕組みです。
インスタグラムのストーリー機能でも、画像や動画、音楽などをシェアすると、無断転載として著作権違反となるケースがあります。
ストーリーをシェアするとき、どこかで遊んでいる様子やイベントの様子などを流す方も多いのではないでしょうか?
このとき自分や友達以外の知らない人の顔が写り込んでしまうことがあります。気にせずそのままシェアしてしまうことも多いかと思いますが、実はこれ「肖像権の侵害」になってしまうケースもあるのです。
肖像権とは、自己の容貌・風貌についてみだりに他人に撮影されない権利のことをさします。憲法13条の幸福追求権の1つとして、理解されている権利です。
一般人でも芸能人でも関係なく、どのような人にでも肖像権は保障されます。なお、芸能人の場合は、容姿を撮影すること自体に財産的価値があるため、肖像権の他に、パブリシティ権というものも成立します。
これらの権利を侵害した場合には、損害賠償請求などの民事請求が行われる可能性があるのです。
ただ、著作権違反でも肖像権違反のケースでも、その「被害者が訴えない限り」損害賠償や問題になることは通常ありません。
では、実際にどのような内容が著作権侵害、肖像権侵害になるのでしょうか。問題となる行為をご説明します。
では、インスタのストーリーに限定するとどのような行為が著作権法に違反する可能性があるのでしょうか?
具体的には以下を含むものをシェアすると問題となります。
特にインスタのストーリーの場合、文章よりも、画像やyoutubeの動画、音楽、漫画、アニメのキャラの無断使用が多いです。
「みんなシェアしてるし大丈夫」というのは通用せず、上記のものはほとんど著作物として保護されているため、原則として著作権料が発生する類のものです。
勝手に無料で利用すると、無断利用ということで著作権違反となります。
よく「宣伝になるからいい」という文句を見つけますが、これは嘘です。一般人が宣伝しても広告効果は微々たるもの。仮に広告効果があるとしても、それは著作物に対して著作権者など権利のある人が選ぶべきことです。「宣伝になるから」というのは理由になりませんので控えるようにしましょう。
※ちなみに、インスタによくある「購入したものを写す行為」は、例えば漫画の内容を写すような行為でない限り通常は問題ありません。
次に、肖像権の侵害になりうるのは具体的にどのような内容なのでしょうか?
他人の顔が映り込めばどのようなケースでも問題となるわけではありません。判例の基準としては、その人の「受忍限度」を超えるか否かによって判断しています。
具体的には、人物の特定性、被写体がメインかどうか、不特定多数に拡散可能かどうかが基準となります。例えば、以下のようなものをシェアすれば問題となりえます。
他人の写り込みに関しては、「他人の顔が認識できるほどにはっきりと写っている・風景といえないくらいに大きく写り込んでいる・一般公開である」場合には、肖像権の侵害となりえます。
たとえ、知り合いであっても、許可なくインスタグラムに載せるのは問題となり、特に子どもの場合は安全面から顔出しNGとする親御さんも多いです。
友人と撮影したものでも、「ストーリーにあげていい?」と必ず確認するようにしましょう。
次に、ストーリーでの法律違反を防止する方法をご説明します。
著作権違反になるとわかっていても、「一般人がやっても逮捕されたりしないでしょ?」と高を括って、著作権違反を繰り返すのは問題です。
しかし、それでも画像や音楽を使いたいというときはありますよね。そんなときは、「著作権フリーの表現物」を利用するしかありません。
下記のようなキーワードをうまく組み合わせて、検索してみてください。
最近では、SNSなどの発展により、画像や音楽をシェアすることが増加したため、著作権のない画像やイラスト、音楽がインターネット上に転がっています。
著作権フリーでも最近はクオリティの高い画像や音楽がたくさんありますので、著作権侵害に引っかからないためにもお気に入りのサイトを見つけて事前にブックマークしておきましょう。
肖像権侵害を回避するために、ストーリーに自分以外の他人の画像・動画をシェアする場合には、以下のルールを守って下さい。
まず、撮った動画をすぐにそのままシェアするのは控えましょう。一旦動画としてとって、面倒でも問題がないかを確認してください。
うっかりシェアしてしまって、なおかつ友人から「削除してほしい」と言われたら快くOKしてください。肖像権のある相手から指摘された場合、すぐ削除をして穏便に解決するのが一番です。
他人が大きく写り込むようなケースであれば、下記のような対応で肖像権侵害を回避することは可能です。
特に屋内の場合は私的空間と判断される可能性もあるため、注意が必要です。自宅の場所・個人情報などが特定されると犯罪のターゲットにされてしまうことがあります。
著作権違反などの問題がある場合は、インスタグラム本社から警告が行われることがあります。
「警告」の場合は、すぐに削除などの対応をすれば問題にならないことが多いため、警告を受けた時点ですぐに削除を行いましょう。
ただ、何度も警告を受けている場合や、自分で削除をしない場合にはインスタグラムのアカウントが閉鎖・凍結されてしまう危険があります。
本人や企業などの権利侵害を回避したとしても、インスタが使えなくなってしまう危険があるので注意してください。
ストーリーは「1日で消えるんだから大丈夫」と気を抜きがちです。一瞬使用しただけの音楽や画像、他人の写り込みでも問題となるケースがあるため、皆さんも注意するようにしてくださいね。